イオンの強みは子会社の成功を
全体に還元できること
減益部門の規模拡大が経営戦略的に正しい場合の一つ目の条件は「全体としては苦境だが、その中にうまくやっている地域や子会社があって、その成功を全体に移植できる場合」です。
イオンの食品スーパーが傘下に50社あるということは、言い換えると50種類の実験ができるわけで、その中で成功している戦略やカイゼン施策を部分から全体に移し続けていけば、やがて全体も高収益になっていくはずです。
イオンのスーパー事業にはたとえば「コンビニキラー」と呼ばれる“まいばすけっと”があります。私の住んでいる東京都新宿区には「コンビニと同じくらいの密度でお店があるのではないか」と思えるほど、たくさんのまいばすけっとがあります。
近くにあって便利なうえに、コンビニではなくスーパーの価格で安く買い物ができますから住民としては使いやすい。コンビニの客を奪うことからコンビニキラーと呼ばれるのですが、このやり方が首都圏で通用するのであれば、全国の同じような事情の地域に同じように出店していくことで全国のコンビニの顧客を奪えるかもしれません。
また今期の営業減益の要因でみると旧ダイエー、カスミ、マルエツ、マックスバリュ西日本、マックスバリュ東海などが軒並み営業利益を減らしているのですが、中四国のフジは営業増益に貢献しています。
このように規模が大きいことを活用して、一部の成功を全体へと拡大していくことができれば、減益下での規模の拡大は経営戦略として成立します。これが一つ目の条件です。