とくに日本は謙虚さを大事にする社会である。大活躍しているスポーツ選手も、けっして自信満々に振る舞うことはなく、勝利したときのインタビューでも、「今日はたまたまうまくいきましたけど、まだまだ力不足なので、もっと力を付けていきたいと思います」「何とか勝てましたけど、課題も見つかったので、つぎに向けて課題を克服するように頑張りたいと思います」「皆さんの応援のおかげで十分に力を発揮することができました」などと、謙虚な姿勢を見せるものである。

 ゆえに、自信満々に振る舞う必要などまったくない。では、どうしたらよいのか。その鍵を握るのが「自己効力感」である。

「やればできる」「頑張れる」といった自己効力感を体得すること

 分かりやすく言えば、「自分はやればできる」という感覚が自己効力感である。「こうすればうまくいく」ということが分かっていても、なかなかそのようにできないということもある。

 たとえば、甘いものを控えて適度な運動を毎日続けていればダイエットがうまくいくということが分かっていても、「今日くらいはいいだろう」と思い、つい甘いものを食べたり、運動するのをさぼったりしてしまうことが続けば、ダイエットはうまくいかない。

 仕事ができるようになるには、地道に勉強して、必要な資格を取るようにしないといけないと分かっていても、ついつい飲みに行くことが続き、そうなると帰ってからなかなか机に向かう気になれず、結局資格試験に受からない。

 そんなことが重なると、「自分は意志が弱くてダメだなあ」と思い、自己効力感は低下してしまう。

 反対に、甘いものを控え、適度な運動を毎日継続することで、ダイエットに成功したり、毎日とまではいかなくても、継続的に勉強をして、資格試験に受かったりすれば、「自分はやればできるんだ」「自分は必要な時に頑張ることができる」と自信を持つことができ、自己効力感を獲得することができる。

 自己肯定感は自己効力感を持つことで高まるのだが、自己肯定感が低いと悩む人は、この「やればできる」「頑張れる」といった感覚を持てずにいることが多い。そこが課題と言える。