メイベリン ニューヨーク・高瀬氏との
TikTok活用に関する対談をお届け

朝戸 企業の方からすると、動画制作を「クリエイターさん任せ」にする不安もあると思います。ですが、TikTokユーザーからすると、クリエイター=親近感のあるクラスの人気者みたいな存在で、彼らが自分の言葉、本音で語るから成果につながる部分があります。

高瀬 テレビCMなら、比較的コントロールできますが、クリエイターとの共創はそうではありません。だからこそ、クリエイター選定はとても大切だと思います。

朝戸 そうですね。ただ、任せるとはいえ、共同作業ですから、完成した動画を見て「言わされてる感」があれば、撮り直した方がいいのではないかと率直なフィードバックをお伝えするケースもあります。クライアントは動画を作りたいわけではなく、成果を求めています。ならばそのためのサポートや助言はさせてもらうべきだと考えています。

高瀬 TikTokに限らず、インフルエンサーマーケティングの注目度がこれだけ高まっている状況を考えると、コンテンツのコントロールに固執すること自体が難しくなっているようにも感じます。感覚値ですが、コントロールできるのは全体の1割から2割程度ではないでしょうか。その覚悟を持つことも、企業側に求められる時代になってきていると思います。

朝戸 わかりやすい例として、こちらが「これを言ってください」とお願いしても、自分のキャラクターに合っていないから、それはできない」と、タイアップ自体を断られてしまうケースもあります。これは決して、クリエイターが偉くなったわけではなく、彼らも生き残るために必死に自分のブランドを守っているからです。

高瀬 円滑な進行という観点では、多くの余白を残した状態でブリーフィングすることが大切だと感じています。私たちは、製品選びの決め手をRTB(Reason to Believe)と表現しています。現在はその決め手が「自分の信頼しているインフルエンサーのおすすめ」であるケースも増えています。RTBがインフルエンサーになっているのなら、特徴や製品名は伝えつつも、ある程度お任せすることで、効果を最大化できると考えています。