小渕・金大中のような
日韓の新時代を切り開けるか
朝鮮日報は社説で、「信頼関係を積み上げてきた両首脳は、かつて韓日新時代を開いた金大中(キム・デジュン)・小渕関係を再現させる可能性を示している」と評価した上で、「韓日両国は韓国における反日左派と日本の嫌韓右派に振り回されず、未来に進まなければならない。それは、尹錫悦大統領が内政における負担を抱えながらも口火を切った韓日関係改善の努力に対し、岸田首相がより積極的に答える勇気と誠意を示すべきだ」と結んでいる。
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現在の日韓を取り巻く地政学的状況、経済環境は、これまでのどの時代よりも日韓の緊密な協力を必要としている。
北朝鮮の核ミサイル開発の状況は待ったなしである。中国の台湾侵攻の可能性や南シナ海における軍事拠点化の動きも日韓の安全保障上の脅威となっている。また、韓国の経済状況は成長率の鈍化と輸出の停滞、家計債務の増加で危機的な状況にある。日本も貿易赤字や経済成長率の低下に苦しんでいる。そうした中、米中の経済安全保障における対立も経済再生の足かせとなっている。
今回の岸田首相の訪韓は、尹錫悦大統領の努力に応えるという意味で日韓関係の大きな節目となったといえよう。
(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)