4月1日付で14年ぶりのトップ交代人事を行い佐藤恒治社長に後継者の座を譲った豊田章男氏は、“実力会長”として佐藤新体制を後方から支えながら佐藤新社長の売り込みに力を入れていこうとしていた。その矢先のダイハツの不正問題の発覚だ。

 したがって、トヨタ会長としての豊田章男氏の初仕事は、トヨタグループ全体のガバナンス(企業統治)・コンプライアンス(法令順守)の改善とグループ再構築の推進となりそうだ。

 そもそも近年、トヨタグループで不正発覚が相次いでおり、トヨタは苦しい立場に立たされている。
昨年3月に、日野自動車がトラックのエンジン排ガスのデータ不正を00年代初頭から続けていたことが明らかとなった。この1年間日野自は対応に追われたが、今年3月にもトヨタの源流企業である豊田自動織機でフォークリフト向けエンジン排ガスデータ不正が発覚していた。それ以前には、21年にメーカー直営販売店であるトヨタモビリティ東京で車検不正が発覚している。

 そこに、今回のダイハツの認証不正問題が大きく追い打ちをかけた格好だ。

 特にダイハツの場合、16年にトヨタが完全子会社化(100%出資)しておりグループ内での存在感は大きい。