さらに、解決策を書き出したら、「インパクト」「コスト」「時間」という3つの基準で評価します。各項目を最大5点で評価した結果、一番高い点数を付けたアイデアは、「店舗と工場共通の修理対応確認表の作成」になりました。

 今回、メガネフィットの東北営業部で案内漏れが数多く起きた原因は、各店舗で情報を共有する一覧表や付箋を活用していなかったことと言えるかもしれません。

 岐阜駅前店でミスが起きていないのは、たまたまと言ってよいでしょう。ベテランだからミスをしないと考えるのは危険です。今後も店舗ごとに対応を任せてしまうと、きっとまたいつか、同じような事象が起きてしまうでしょう。各店舗での工夫は大切ですが、店舗任せにしていたのでは、ミスを限りなく100%近くまでなくすことはできません。

 そこで、この問題を各店舗の行動や仕組みが原因と捉えるのではなく、全社単位で対応すべきであると考えました。つまり、工場と店舗の連携で連絡ミスの発生をなくすのです。店舗で連絡漏れが起きたとしても、工場側が確認する仕組みになっていれば、大幅に連絡が遅れることは防げます。

 検討の最終段階にきましたが、ここで、勇気を持って「そもそも」と言ってみましょう。そうすることで、根本的な問題解決につながる策を思いつくかもしれません。

 そもそも、なんで店舗が案内をしなければいけないのでしょうか? 工場側が店舗に修理・点検が完了したと連絡する際に、一緒にお客様に通知すればよいのではないでしょうか? さらに、そもそも、なぜお客様に連絡をしなければいけないのでしょうか?

 工場側が眼鏡の修理状況を管理しているわけで、その状況を逐次、お客様も見ることができるようにすれば、今、修理・点検がどの状況になっているかをお客様が確認することもできます。すると、お客様へ連絡する必要自体がなくなります。

 今回のメガネフィットのケースでいうと、すぐにそこまでのことはできないと思うかもしれません。しかし、変えられない理由は何でしょうか? システム開発が追加で必要なのですぐにできないのかもしれません。しかし常に、抜本的な改革を行う可能性を模索すべきです。現状維持ではなく、大胆な一手を最後の最後まで探っていく姿勢が新たな気づきを生み出し、大きなインパクトにつながるのです。