これと同じように、相手が話している間に自分の言いたいことが頭に浮かんだり、「自分の順番が来たらどう話そう……」という考えに支配されたり、相手の話をさえぎって、かぶせてしまうことは、本当によくあると思います。

 しかし、今に意識を向けて集中することが、“聞く”ときには大切です。

 一流の俳優は、たとえ1000人の観衆がいようとも、目の前の相手の話を一言も聞き逃しません。

 今、この瞬間に意識を集中して、相手の話を最後まで聞きます。そうすれば、自分が次に話す言葉を用意しなくても、言葉が内側から自然と出てくるのです。

 ちなみに、家族やパートナーなどの近い関係であればあるほど、集中して聞くのが難しくなりがちです。だからこそ、練習台にはもってこいです。身近な人が自分の「聞く力」を高めてくれると思って、最後まで集中して聞いてみましょう。

 大事なのは、話すのではなく“聞く”を優先させる。もし聞く意識が離れていったら、それに気づいて、“今”に戻す練習をしてみましょう。

相手の話を引き出す
意外とできていない基本動作

 2つ目の「相手の話を引き出す」ポイントは3つです。

 聞き方の3つのポイント
 1:目を見る
 2:うなずく
 3:反応する

「こんなこと誰でも知っていることだよ」。こう思ったかもしれませんね。しかし、誰にでもできる基本的なこの3つのポイントができていない人が多いような気がしています。

 1:目を見る

 “見る”とは「私はあなたの話に興味を持っていますよ」という明確な合図を送ることです。

 視線を合わせないと、それだけで不誠実だと感じられてしまいます。

 どうしても目を見れないなら、相手の眉間の少し上を見る習慣をつけてみましょう。それでも十分です。相手からすると、目を見てくれていると感じるものです。

 まずは家族など近い関係の方に練習をお願いしてみましょう。目を直接見て話してもらうパターンと眉間の少し上を見て話してもらうパターンそれぞれをお願いしてみてください。眉間の少し上を見られる方が柔らかい印象を感じると思います。