海運バブル終焉 手探りの船出#7Photo:Yagi Studio/gettyimages

海運業界は高給で有名だ。歴史的なコンテナバブルで2期連続の最高益をたたき出した日本郵船では、ボーナスが不況時の4.5カ月分から跳ね上がった。特集『海運バブル終焉 手探りの船出』(全7回)の最終回では、日本郵船のボーナスの具体的な水準に加え、海運大手の役職に応じた給与水準を公開。バブルによって爆増した課長や部長の給与やボーナスの実額を明かす。また、日本郵船で進む人事制度改革についても解説する。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)

日本郵船トップの報酬は1.9億円に
海運業界の給与は全33業種で首位

 1億円から1.9億円に倍増――。日本郵船の会長に4月1日に就任した長澤仁志前社長の役員報酬は、2019年度の1億0500万円から21年度に1億9100万円に跳ね上がった。

 海運最大手のトップの報酬を激増させた要因は、空前の海運バブルである。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にコンテナ運賃が高騰。日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社は2期連続の最高益をたたき出した(本特集#1『海運大手3社の合弁「日の丸コンテナ船」、バブル終焉で忍び寄るリスクの正体』参照)。

 特に最大手の日本郵船の21年度の純利益は1兆円を突破。上場企業の中でもトヨタ自動車やNTT(日本電信電話)、三菱UFJフィナンシャル・グループといった有名企業に続き、国内4位の高水準だった。超好決算に連動して役員報酬も跳ね上がったのだ。

 海運業界は高給で知られる。上場企業約3900社の有価証券報告書ベースでは、海運業界の平均年収は21年度で894万円となり、全33業種の中でトップ。個社で見ても、日本郵船の平均給与は1082万円(平均年齢39.8歳)、業界2位の商船三井は1072万円(同38.0歳)、3位の川崎汽船は990万円(同38.9歳)だ。

 今回のバブルに象徴されるように、業績が市況に左右されやすい海運業界は給与やボーナスが大きく変動することはある。ただし、産業全体で見れば海運業界の待遇は良いといえる。

 では、日本郵船のボーナスは今回の空前のバブルでどれだけ跳ね上がったのだろうか。次ページでは、爆増した日本郵船のボーナスの具体的な水準を明らかにする。また、役職別の給与テーブルも公開し、バブルによって激増した課長や部長の給与やボーナスの実額を明らかにする。40代半ばの部長代理のボーナス額は驚嘆の水準となり、海運バブルの絶大なインパクトを物語る。一方、日本郵船は幹部育成を目的に人事制度改革を進める。新たな取り組みについても解説する。