セグメント別に見ると、「運輸業」は営業利益100億円の予想に対して約241億円の営業損失と、黒字化はならなかった。同社は2022年度の鉄道運輸収入の推移を、在来線(定期外)が約80%から約95%に、新幹線(定期外)が約60%から約90%に到達する見通しを示していた。
では実際にはどうだったのかというと、第1四半期は在来線約79%、新幹線約60%、第2四半期は在来線約76%、新幹線約64%、第3四半期は在来線約85%、新幹線約77%、第4四半期は在来線約90%、新幹線約80%と伸び悩んだ。2023年度は第4四半期が在来線約102%、新幹線約93%、通期で在来線98%、新幹線91%との見通しを発表しており、結果が注目される。
鉄道以外では、エキナカ事業や広告事業など「流通・サービス業」は営業利益500億円の予想だったが、約353億円と下回った。エキナカ事業は上期約85%、下期約95%の見通しをおおむね達成したが、誤算は広告事業だった。
期首の予想では上半期が約80%、下期は約90%だったが、実際は年度末時点でも50%程度しか戻らなかった。2023年度は通期で約70%まで回復する見通しを示しているが、鉄道利用形態の多様化とデジタルシフトが進む中、新たな交通広告のあり方を提示できるかが焦点になりそうだ。
一方、好調だったのが800億円の予想を上回る約1116億円の営業利益を計上した「不動産・ホテル事業」だ。特にホテル事業は、第1四半期の約70%から、第2四半期は約90%、第3四半期は約100%、第4四半期は約115%と、コロナ以前を上回る水準まで急速に回復した。
さて気になる2023年度業績予想は、売上高が2904億円増の2兆6960億円、営業利益が1293億円増の2700億円、経常利益が1000億円増の2110億円としている。セグメント別営業利益は運輸業が1180億円、流通・サービス業が247億円の増益、不動産・ホテル事業が115億円の減益(不動産販売事業のビジネスモデル転換の影響)となっており、運輸業が見込み通り回復するかが予想達成のカギとなる。
ちなみに第1四半期の見通しと4月の運輸収入実績を比較すると、在来線定期は約77%に対して約85%、在来線定期外は約94%に対して約97%、運輸収入合計は約83%に対して約89%と好調な滑り出しだ。