新幹線は約88%の見通しだが、JR東日本は月次開示で新幹線個別の運輸収入を公表していないため輸送量で比較すると、東北新幹線が約79%、上越新幹線が約83%、北陸新幹線が約88%、合計で約81%であり、コロナ前は運輸収入の3分の1を稼いでいた新幹線の伸び悩みは気になるところだ。

JR西日本の運輸業の営業損益は
当初予想より大幅に上振れ

 続いてJR西日本だ。こちらは売上高約1兆3955億円で営業利益約840億円、経常利益約736億円、純利益が約885億円だった。売上高1兆3090億円、営業利益300億円、経常利益135億円、純利益約585億円の業績予想をいずれも上回った。これは2018年度比で売上高は91%、営業利益は43%、経常利益は40%となり、JR東日本を上回る水準だ。

 セグメント別に見ると、「運輸業」は110億円の営業損失の予想に対して約245億円の営業利益と大幅な上振れとなった。見通しでは新幹線が3390億円、在来線が3340億円(うち近畿圏が2510億円)だったが、実績値は新幹線が3.7%増の約3516億円、在来線が2.6%増の約3428億円(うち近畿圏が約2567億円)だった。

 収入で見ると215億円の増加だが、費用を修繕費で約108億円、業務費で約98億円削減しており、人件費の約91億円増とあわせても営業利益を344億円上積みした。

 鉄道以外では「不動産業」の営業利益が対前年約66億円増の367億円となり、2018年度の約360億円を上回った。

 また「その他」セグメントの営業利益は対前年約143億円増の約173億円となったが、これはセグメントに含まれるホテル業の営業損失が約90億円から約22億円に縮小したのと、旅行需要の回復で旅行業が同約36億円増の60億円の営業利益を計上したことによるものだ。