ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表で創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏が、ロシア政府を強烈に批判する発言を繰り返し、注目を集めている。元外交官で作家の佐藤優氏は発言の真意をどう読み解くのか。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
“プーチンの盟友”が
ロシア政権を猛然と非難
ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏が、お騒がせ発言を続けています。プリゴジン氏は、激戦地となっているドネツク州バフムートからSNSにこんな投稿をしています。
「ショイグ(国防相)! ゲラシモフ(参謀総長)! 弾薬はどこだ! この連中は志願兵として来てお前たちのために死んでいった。お前らが豪華なマホガニーのオフィスでぶくぶく太っていけるように」(5月4日の動画で、兵士たちの遺体の前で)
5月5日には、弾薬不足のためにワグネルが無駄で不当な損失を被っているとして、「10日にバフムートから部隊を撤退させる」と表明しました。7日になって一転「戦闘続行に必要な弾薬と兵器の供給が約束された」と撤退を撤回したと思えば、9日には「届いた弾薬は希望する量の10%にも満たない」と不満を述べました。
“プーチン大統領の盟友”といわれるプリゴジン氏の発言だけに、大きな注目を浴びています。