日本の大学からすれば、孔子学院設置費用や運営費は、中国政府が援助するため、大学側はほとんど負担することなく、中国語教育を安価で学生に提供でき、学生も併せて募集できるため、メリットが多い。
日本における孔子学院設置の流れは以下の通りである。
上記孔子学院設置校のうち、★印を付けた3大学における孔子学院は要注意である(その1つである工学院大学孔子学院は21年3月末閉鎖)。
まず、工学院大学と提携していた北京航空航天大学は、中国の軍需企業を管理する国家国防科学技術工業局に直属する国防七校の1つであり、同大は、大量破壊兵器であるミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。
また、立命館大学、早稲田大学と提携している北京大学は、準国防大学といわれ、国家国防科学技術工業局が管理している大学である。
孔子学院が危険な
3つの理由
孔子学院の危険性は3点ある。
一点目は、孔子学院と受け入れ大学側との契約内容が不透明であることだ。
米国上院国土安全保障・政府問題委員会の報告によれば、
●中国政府が孔子学院に関連し、米国教育機関に1億5000万ドル(約200億円)以上の資金を提供
●中国政府が孔子学院の予算・教育内容・人事の全てを管理
●孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約
●孔子学院と大学との契約内容を非公開
としており、極めて問題のある契約を孔子学院と受け入れ大学側とで締結している可能性があると指摘。日本においても契約内容は文部科学省などが審査する構造になっていない状況となっている。
二点目は、文部科学省をはじめ日本政府機関の審査などを経ずに、日本の大学内に中国政府の統制下にある機関(孔子学院)が設置されるため、大学および日本の自治に極めて重大な懸念があることである。
中国共産党のスパイ機関・プロパガンダ工作を行うと世界から指摘を受けている孔子学院に対し、日本はその設置を許容したままとなっている。
なお、一部メディアによれば、2010年に大阪産業大学の理事が孔子学院を運営する漢語事務局をスパイ機関と呼んだことで、キャンパス内の中国人留学生などから大きな反発を受けて謝罪して辞任し、この話が中国共産党機関紙の人民日報に掲載されたという。
いずれにせよ、中国政府の統制の下、教育内容が管理され、教育の自由を侵害している。これが、後述のプロパガンダ工作につながる。