対等な関係の中で相手を活かす
前川孝雄 著
日本企業を取り巻く環境は、昭和の戦後高度成長期から平成を経て、大きく変化しました。
若手社員は、終身雇用・年功序列とは異なる仕組みと価値観の中で働いています。ワーク・ライフ・バランスが重視され、仕事とプライベートの調和を重んじる人が増えました。社員が子育てや介護をしながら働き、会社にはその環境整備が求められるようになりました。また非正規社員の増加で、職場の雇用形態も多様化しました。副業解禁の流れで、複数の仕事を持つスタッフも増えるでしょう。雇用延長が進み、年上部下の存在も普通になるでしょう。
かつての日本企業が、「男性=正社員、妻=専業主婦またはパート」「会社の命令や業務が最優先」であったのと比較すると、隔世の感があります。多様な人が同じ職場で働く今日、指示・命令・管理でチームを動かすことはできません。上司として組織をまとめ、成果を上げるには、部下一人ひとりと対話し、相手の持ち味を活かし、信じて任せるしかないのです。
必定、上司は人間的に偉いわけではなく、あくまで役割だと考えることが常識になります。上司と部下は人間としては対等で、ただ組織でよりよい仕事を進めるために、互いに役割分担をしていると理解することです。
上司とは、部下の働きがいと活躍・成長を支援する役割と自覚し、その役に徹すること。それによって、上司自身も働きがいを感じられ、リーダーとして成長できるでしょう。