東急電鉄、小田急電鉄…関東私鉄5社、コロナ収束の兆しも「収入回復度」で厳しい現実西武鉄道の豊島園駅に「スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業するPhoto:Diamond

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場70社超、23業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移から、6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2023年3月度の鉄道(関東の私鉄)編だ。

コロナ前水準の9割まで回復したのは1社だけ

 鉄道(関東の私鉄)の5社が発表した2023年3月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯東急電鉄(東急)の運賃収入
 3月度:前年同月比117.6%(17.6%増)

◯小田急電鉄の運輸収入
 3月度:同116.2%(16.2%増)

◯京王電鉄の旅客運輸収入
 3月度:同111.0%(11.0%増)

◯東武鉄道の運輸収入
 3月度:同115.5%(15.5%増)

◯西武鉄道(西武ホールディングス〈HD〉)の運輸収入
 3月度:同112.9%(12.9%増)

 5社とも前年実績から10%以上、増収した。ただ、鉄道は新型コロナウイルス禍で、大きな打撃を受けた業界の一つだ。コロナ禍で業績が大幅に悪化し、そこからの反動増による「見せかけの好業績」の可能性もある。

 そこで、時系列で数字の推移を詳しく見ながら、コロナ前の水準と比較した「真の回復度」を確認していこう。

 5社のうちコロナ前の水準に回復している会社はどれくらいあるだろうか? 確認すると、コロナ前を上回った会社は1社もなく、回復度90%を超える会社も1社しかなかった。それはどこだろうか? 当ててみてほしい。