ホンダのN-BOXPhoto:HONDA

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場70社超、23業界を上回る月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移から、6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2023年3月度の自動車編だ。

トヨタ“独り勝ち”は本当?
供給混乱から抜け出したのは…

 自動車の主要3社が発表した3月度の月次業績データ(国内販売台数)は、以下の結果となった。

◯トヨタ(トヨタ自動車)の国内販売台数(トヨタブランドのみ)
 3月度:前年同月比126.9%(26.9%増)

◯ホンダ(本田技研工業)の国内自動車販売台数
 3月度:同98.1%(1.9%減)

◯日産(日産自動車)の国内販売台数
 3月度:同93.7%(6.3%減)

 トヨタのみ前年同月に比べて26.9%も増やした一方、ホンダと日産は前年割れに沈んだ。一見するとトヨタの“独り勝ち”のように映る。

 近年の自動車業界は、新型コロナウイルス禍やウクライナ戦争の影響によるサプライチェーンの混乱に見舞われている。半導体をはじめとした部材供給が滞り減産に追い込まれたことから、注文は受けても販売実績にならない受注残が積み上がった時期が続いた。一方で、そうした時期の反動によって好調な数字が出ている場合もある。

 そこで、混乱が起きる前の水準と比較して、今はどの程度回復しているかを確認する必要がある。次のページでは、各社の「真の回復度」を見ていこう。すると、意外な事実が分かった。