このほか、様々なホルモンが体の機能がスムーズに働くための潤滑油になっています。ホルモンはごく微量で効果を発揮しますが、血液中には水を張った50mプールにスプーン1杯ほどの量しかありません。健康維持のため、色々な機能を調節してくれるホルモンですが、バランスが乱れると心や体に影響が表れるので注意が必要です。
うつ、パニック──
心からくるヤバい症状
●意外に多いうつ・パニック障害
うつ病は100人に約6人が経験するといわれており、精神的、あるいは身体的にストレスを受けることで脳が正常に機能しなくなって発症すると考えられています。その症状は、意欲が出ない、食欲が減退する、眠れない、体がだるい、疲れやすい、寝起きがすっきりしない、頭が重いなど、誰でもよく経験するもの。そのため、心の病気だと気づいていないことも多いのが特徴です。
1000人に6~9人が発症するといわれているのがパニック障害。理由もないのに突然、動悸やめまい、発汗、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、救急搬送されることもあります。しかし、生命の危機に直面したような恐怖と発作を繰り返すのに、検査をしても異常が見つかりません。そのため、初めは心配していた周囲の人も「またか」「気のせいなのに大騒ぎしてる」という接し方になりがちで、本人にとっては非常につらいもの。また発作が起きるのではという不安が消えず、仕事や外出ができなくなるケースもあります。体の症状に敏感な人や、継続的にストレスにさらされていると発症しやすく、自律神経との関わりも指摘されています。
ストレスが高血圧、がん、心筋梗塞を
引き寄せる原因に!?
●死に至る病に直結するストレス
血圧は心の状態が大きく影響されるため、終始ストレスにさらされる仕事中は、健康な人でも10mmHgほど上がることが多いです。これは「職場高血圧」といわれる隠れ高血圧の1つです。知らず知らずのうちに血圧が高い状態が続き、血管は次第にかたくなってもろくなります。そこに強いストレスや怒りを感じると、自律神経(交感神経)が血管をぎゅっと締め上げ、血圧が急上昇。脳出血や急性大動脈解離などを引き起こし、場合によっては死に直面してしまいます。
また、血液中にストレスホルモンが増えると血液が凝固しやすくなり、「血栓」と呼ばれる血のかたまりができることも。血栓が肺の血管に詰まれば肺塞栓症、同じことが脳で起きれば脳梗塞、心臓ならば心筋梗塞を発症します。