この商用車再編に結びついたのは、何といっても日野自のエンジン不正問題だ。

 22年3月に発覚した日野自による排ガスデータの改ざん問題は傷口が大きく広がり、2000年代初頭にまでさかのぼって不正が続いていたことまで判明してしまった。トラック・バスの国内出荷停止やブランドの毀損(きそん)によって、日野自の2023年3月期の連結最終赤字は1176億円と過去最大の赤字となり、最終赤字は3期連続となっていた。

 国内だけでなく米国など海外での不正の有無も調査段階にあり、窮地に陥っていた日野自を、50.1%出資する親会社のトヨタがどう支えていくかということは、かねての課題だった。

 次世代商用車を開発する連合であるコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)には、トヨタ・日野自・いすゞ・ダイハツ工業・スズキが共同で出資していたが、不正発覚で日野自を除名する厳しい処分を下したのが、当時の豊田章男トヨタ社長だった。

 この4月に佐藤恒治氏に社長を譲り、会長となった豊田章男氏だが、日野自の処遇とその方向の打ち出しは会長マターとして進められてきた。

 関係筋によると、昨年夏以降にダイムラー側からトヨタに日野自と三菱ふそう連合の話が持ちかけられたという。豊田章男体制の下でトヨタ専務役員CVカンパニープレジデントの立場から日野自に送り込まれた小木曽聡社長とともに、水面下で話し合いが進められたようだ。