給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【成長株の見つけ方】コンテンツビジネス(映画、ドラマ、アニメ、音楽、マンガ)の有望企業はどこか?Photo: Adobe Stock

東映アニメーションの株価は、
12年間で50倍以上に

 映画、ドラマ、アニメ、音楽などのコンテンツに関しては、ネットフリックス、アマゾンプライムビデオ、YouTube、スポティファイ、アップルミュージックなど世界的なプラットフォームができて、世界中の人たちが世界中の良いコンテンツを求める時代になってきました。

 各プラットフォーム運営会社も、他のプラットフォームとの競争に勝つために良いコンテンツを集めるための熾烈な競争をしています。そうした意味で、良いコンテンツを豊富に持っている会社は業績を大きく伸ばす潜在性があるといえます。

 アニメについては東映アニメーション(4816)がワンピース、北斗の拳など数多くのコンテンツを保有しています。世界的なプラットフォームでの需要増加の期待も高まり、株価は2009年から12年間で50倍以上に上昇しました。

 ソニーグループは、映画と音楽のどちらについても世界3大メジャーの一角を占める存在であり世界的なコンテンツ保有企業でもあります。

 日本企業はプラットフォームについては世界的な企業が育っていませんが、サイバーエージェント(4751)が手がけるアベマTVなど、日本独自のプラットフォームが成長してきており、今後の成長性も期待されます。同社グループはウマ娘など独自のコンテンツを生み出していますし、そのような日本独自のコンテンツへの需要が高まれば、世界的な事業展開も将来的には可能になるかもしれません。

 国内の動画配信プラットフォームとしてはUSEN-NEXT HOLDINGS(9418)の「U-NEXT」も順調な成長を続け、契約件数は265万件(2022年5月末現在)となっています。月額2189円と他の配信サービスと比べてやや高額ですが、毎月1200円のチケットがついて最新映画などが鑑賞できるなど、独自のサービスとコンテンツの品揃えの豊富さが受けて契約者数を増やしています。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/