兄弟姉妹に
相続させたくないとき

 子どもも配偶者もなく、直系尊属(父母や祖父母)がすでに亡くなっている場合は、自分の遺産は兄弟姉妹が相続する権利を持つ法定相続人になります。また、子どもはいないけれど配偶者がいるという場合も、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるため、兄弟姉妹に遺産が相続されることになります。

 兄弟姉妹との諸事情や自分の意思により遺産を渡したくないという人もいるでしょう。そういう場合は、「遺言書を作成し、兄弟姉妹以外の人に財産を遺贈する」「兄弟姉妹以外の人に財産を生前贈与する」といった方法で対策することができます。兄弟姉妹には遺留分(相続できる遺産の最低保障額)がないので財産が相続されることがなくなります。

画像04_相続人以外に財産を渡す方法と税金相続人以外に財産を渡す方法と税金。相続人でない第三者に遺贈する場合、相続税が2割加算されるなど税負担があるため、遺贈を受け入れてもらえるかどうか事前に確認すべき。 拡大画像表示

 また、兄弟姉妹からひどい仕打ちを受けている場合は、家庭裁判所に「相続廃除」を申し立てることで、兄弟姉妹の相続権をはく奪することができる制度があります。さらに、兄弟姉妹が「相続欠格(相続を自分に有利にするために罪を犯し相続権を失うこと)」となった場合、当然のことながら遺産が相続されることはありません。

 ただし、相続廃除や相続欠格により兄弟姉妹が相続権を失ったとしても、その子である甥・姪がいる場合、代襲相続によって甥・姪が相続権を取得することになるので注意が必要です。甥・姪にも財産を渡したくない場合は、兄弟姉妹が相続廃除や相続欠格となったとしても、遺言書で相続の指定をしておきましょう。