まずはインターンシップなどで自らの農業への適性を確認し、その後スキル獲得のため、自治体などが実施している研修へ参加や農業法人への就職(研修)、これらを経て農家として独立するのがベターなのだそう。

「当たり前ですが、農業は決して楽というものではなく、自然相手となるため、会社勤めとは違う生活スタイルになります。土を耕したり草むしりでさえ、多くの人にとって初めての経験になりますが、そのような農業のスタイルが自分に合うかをまずは見極めることをおすすめしています。なので、最初は公益社団法人日本農業法人協会が行っている農業インターンシップに参加したり、自治体や専門学校での農業体験など、農業を肌で体感してみることが重要です。実際、体験を通して『自分に農業は合わない』と感じ、諦める方もいらっしゃいます」

 インターンシップを受け入れている農家は全国に約250ある。また、茨城県の日本農業実践学園では最短1日~最長3カ月の体験・研修コースがあり、米、野菜など希望の作目を選んで農業に触れることができる。

 それを経て、農作業が苦ではない、楽しいと感じれば、自治体などが行っている研修制度を受けるか農業法人の社員となり、本格的な農業技術を身につける段階に進む。

「独立・自営就農には技術・ノウハウ、資金、農地、機械・施設、住居の5要素が必要です。就農希望者がこれらすべてを一から準備することは容易ではありませんので、法人就職や研修中に農地を探し、スキル習得、資金の工面などをすることが有効だと思います。研修制度は1~3年というものが多く、ここでは農業の基礎をしっかり学べ、独立後も指導や相談などサポートが受けられます。ただし、研修中に給料は支給されません。一方、農業法人に雇用されると給料はもらえますが、仕事として農作業することとなり、研修ではないために体系的に基礎を学ぶことは難しく、どちらかといえば見て学ぶという形が多いでしょう。法人の場合だと独立できるまで5年くらいは必要でしょうか」

 作目によっては一年一作のケースもあるため、ある程度のノウハウを蓄積するにはどうしても数年はかかる。こうした期間を経て、みずからに合った作目や農地を選び、機械などの準備もすすめ、独立するのが最もリスクが少ない道筋なのだという(独立せず、農業法人への雇用を希望するケースもある)。