知っておきたい
「推し活韓国語」

 K-POPをはじめとする韓国エンタメを推す人々にとって、常識的に使われている言葉の一つに、韓国語で「ファン」を意味する『ペン』がある。日本のK-POPファンの間では、「私はBTSのジミンペンです」といった具合に、SNSのプロフィール欄で自分が誰を推しているか、明記されていることが多い。

 なにも知識がなければ「○○ペン」という表記を見て、その人物が「韓国の○○を推している人」と読み取るのは難しい。一方で、「ペン=ファン」と理解している人は一瞬でその内容を読み取ることが可能だ。

『ペン』のように「推し活」で使える韓国語の単語やフレーズは他にもあり、日本人のファンの間でも「共通言語」として当たり前に使われているため、「推し活韓国語」を習得することでファン同士の交流はよりスムーズとなる。

「例えば『#HappyJiminDay』のように、SNS上でファンが一斉に同じハッシュタグを使って、推しの誕生日を祝うこともあります。ハッシュタグを経由して、同じ推しを応援しているファンと出会うことは珍しくありません」(かん氏)

 また、推しからの「供給」(ファンに向けて新曲やMV、ファンミーティングなどのイベントの情報を提供すること)を、K-POPファンはSNSで受け取って、さらに情報を拡散する。

「韓国では、ファン同士が連帯して、いっしょに推しのために活動する様子がよく見られます。例えば、合同で出資して、『誕生日広告』(推しの誕生日を祝うために駅や街頭スクリーンなどに掲出する広告)を出したり、撮影現場に『コーヒー車』(コーヒーや軽食を搭載したワゴン。推しの写真などで装飾されることが多い)を差し入れしたり……。このようなファンの活動は、最近日本をはじめ外国でも見られるようになりましたが、元々は韓国発。ユニークな文化だと感じています」(澤田氏)

 韓国発の推し活文化が日本で広まりつつある一方で、日本発の概念も韓国で浸透していると澤田氏は言う。

「韓国では『オ ドク』という言葉が広く使われていますが、これは元々日本語の『オタク』から来ています。『トク』と略されることも多いですね。一介のオタクとしては、『オタク』というワードが韓国で好意的に使われていることを嬉しく思います」(澤田氏)

 コンサートやファンミーティングなど、生でアーティストの姿を見られる機会は、コロナ禍により一時期減っていたものの、アイドルとファンが1対1のビデオ通話を楽しむ「ヨントン」が普及して、ファンが韓国アイドルを身近に感じる機会も増えた。

「推しが話す言葉を理解したい」「韓国語で推しに愛を伝えたい」といった理由で、韓国語を勉強する人はこれからも増えていくに違いない。