老後の支出を大幅に減らすと
100歳まで持ちこたえられるが…
そうすると、60歳以降に発生する一時的な支出は、車の買い替え(300万円×2回=600万円)、家電の買い替え(100万円×4回=400万円)、家のリフォーム費用(1000万円)の計2000万円です。
先ほど算出した60歳時点での金融資産額(6930万円)から、この一時費用(2000万円)を差し引いた残りは4930万円です。
また、一時費用を除く家計収支を見ていくと、Oさんが60歳以降は働かないとすれば、公的年金を受給できる65歳まで収入は0円です。
一方、定年退職後は「余裕があったら旅行もしたい」と書かれているため、60歳以降の年間支出は現在の245万4000円から295万円に引き上げます。65歳までは、この金額がそのまま年間赤字額になります。
65歳までの累積赤字額は1475万円(295万円×5)ですので、65歳時点の金融資産額は4930万円から1475万円を差し引いた3455万円になっているでしょう。
65歳からは公的年金が年間200万円ほど支給される予定とのことですが、これは額面金額なので、手取額は170万円とします。年間支出は295万円と変わらないとすれば、年間で125万円の赤字です。
Oさんの65歳時点の金融資産額は3455万円ですから、毎年125万円ずつ取り崩すと約27.6年後(Oさんが92歳)までは持ちこたえられます。ですが、相談文で目安として挙げられた100歳までは持ちません。
ただ、これまでの試算は、定年退職後も現役時代の生活水準を維持する前提で進めてきました。ここからは別のパターンとして、75歳以降の年間支出額を20万円減額して275万円に抑える案を検討してみます。
先ほどの試算では、65歳時点の金融資産額は3455万円、年間赤字額は125万円でした。この水準の支出が10年間続くと、75歳時点のOさんの金融資産額は2205万円(3455万円-1250万円)です。
75歳以降は年間赤字額が105万円に縮小しますので、2205万円の金融資産から毎年取り崩すと21年間(Oさんが96歳まで)は持ちますが、やはり人生100年時代には数年足りません。
ご参考までに、75歳以降の年間支出をさらに20万円減額した場合も試算しておきます。2205万円の金融資産から毎年85万円を取り崩すと25.9年間(Oさんが100歳まで)持ちますので、理論上は目標を達成できます。