国内問題の扱いでは
一流国とはいえない
しかし、一歩国内に目を転じてみれば全く違う景色が見えてくる。韓国の経済指標では、日本を上回るものもあるが、国内政治は相変わらず先進国になっていない。その原因の一つは「日本を追い越した」との評価に実感が伴わないからであろう。
ソウル大学は、柳弘林(ユ・ホンリム)総長の肝いりで、学問の境界を取っ払い、シンクタンク「国家未来戦略院」を発足させた。そこで30回近い討論を重ね「世界の秩序変化と朝鮮半島の未来クラスター」という報告書をまとめた。
報告書の主要論点としては「韓国は、体は成人だが、精神は青少年にとどまっている」とし、「対外志向的である正しい韓国がある一方、世界の流れに関心がなく南北(関係)・民族など狭い関心事に執着する内向的な政治勢力が存在し、グローバル化に負担が大きい」と指摘している。
これはまさに韓国の現状を言い当てているように思う。
歴史問題にこだわる民主党の姿は
先進国の最大野党とは思えない
韓国の歴史研究は、客観的な事実を探求することではなく、自分たちに好都合な仮説を立て、それに都合のいいファクトを当てはめて、それがあたかも「歴史の真実」であったかのように説明することである。
しかも、その歴史的な事実は、反日運動の中核をなす市民団体が主張するままに作り上げられ、市民団体は、それを元に日本に対し、反省と謝罪、賠償を求めてきた。日韓両国政府で歴史問題解決に合意しても、市民団体はそれを認めなかった。日韓で合意が成立すれば、歴史問題をビジネスとすることができなくなるため、一層激しい反対運動を繰り広げた。
韓国政府はそれに耐えきれず、日韓両国政府の合意をひっくり返す「ちゃぶ台返し」を繰り返してきた、というのが日韓歴史問題の経緯である。
民主党は、今でも元慰安婦問題や元徴用工問題で、韓国政府を攻撃し、反日活動を続けている。民主党は最近、その中核となっていた市民団体が、政府補助金の不正使用問題などで信用を失墜し、国民の支持が離れたため、その活動の重点を福島第一原発の処理水放出問題に移している。とはいえ、民主党がまた、歴史問題を中核に据えても驚きはない。
戦後70年以上がたっても、歴史問題で攻勢を続ける国は韓国を置いてほかにはないだろう。尹錫悦大統領は6月23日ベトナムを国賓訪問した。
尹錫悦大統領は、韓国のベトナム戦争参加について言及を行わず、献花と黙とうをして哀悼の意を表し、両国の未来を強調した。それでもベトナムは「過去は封じて未来のために協力しよう」という歴史認識を示したという。加害者である韓国はベトナムの対応をどのように受け止めたのか。
尹錫悦大統領は4月、米紙のインタビューで「日韓関係改善のため、日本に対して『100年前のことにいつまでもひざまずけ』とは言えない」と述べた。この発言は韓国で市民団体などから激しい反発を受けた。しかし、同大統領の真意は「ヨーロッパでも多くの戦争が行われたが、今は協力し合う国になっている。日韓でも協力できないことはない」というものであり、極めて常識的な発言である。