決済の用を成さないビットコイン

 三つ目の仮想通貨は近年マスコミで話題になることも多く、最も身近な“チャラ3”だろう。なかでも有名な仮想通貨がビットコインだが、値動きの激しさでも知られる。

 2017年には、1月に8万4000円ほどだった1ビットコインが、12月には230万円まで上昇、じつに30倍近く値上がりしたことになる。その後も乱高下を繰り返しながら、一時は700万円台をつけた。変動幅の大きさから仮想通貨に手を出す人も多いが、私は2018年1月で卒業した。理由の一つは、そもそも仮想通貨は通貨ではないことだ。ふだん我々が使っている通貨は「法定通貨」と呼ばれるもので、税金を払うこともできるし、銀行に持っていけば他の通貨と交換してもらえる。店で買い物もできる。

 これに対し仮想通貨は、基本的に買い物に使えない。もちろん税金も払えない。一時、家電量販店のビックカメラがビットコインでも買えるとアピールして話題になったが、利用している人はほとんどいないだろう。あれだけ値動きが激しければ、とても安心して使えない。

 しかもここへ来て仮想通貨の取引に欠かせないマイニング(採掘)を行う業者が、経営破綻しだしている。マイニングとは複雑な計算式を解くことで行われる。最も早く計算式を解いた人に報酬として、仮想通貨がもらえる。

 この作業には大量の電力が必要で、電力が安いことを前提に成り立つ仕組みでもある。世界的な電気代高騰の中、経営が苦しくなってきているのだ。2022年11月には「豪上場仮想通貨マイニング企業、傘下2社に債務不履行通知」という報道もあった。

「デジタル円」で仮想通貨は用済み!?

 一方で中央銀行によるデジタル通貨の発行計画は各国で着々と進んでいる。日本でも、日本銀行が「デジタル円」の発行に向けて、2023年から動きだすことが決まっている。2022年11月23日の『日本経済新聞』が「日銀『デジタル円』、3メガ銀と実証実験へ23年春から」と報じている。

 日銀が「デジタル円」の発行に向け、3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入った。2023年春から民間銀行などと協力し、銀行口座での入出金といったやりとりに支障がないか検証する。災害時などを想定し、インターネットの届かない環境でも稼働するか確かめる。2年間ほど実験を進め、26年にも発行の可否を判断する考えだ。

 つまり今後は中央銀行が、デジタル通貨を発行するようになる。価値は現在の円のまま、決済や送金における利便性は、より高まる。いまの仮想通貨が通貨としての利便性ゼロなのとは大違いで、デジタル円が出るとわかればビットコインなど仮想通貨を所有する意味はほとんどなくなってしまう。そう考えるとやはり仮想通貨には近づかない方がいい。