金融機関の営業のイメージ写真写真はイメージです Photo:PIXTA

日本にもついにインフレが到来し、「インフレ対策のための資産運用」というテーマへの注目度が高まっている。しかし、金融業界をはじめ、世間が騒ぐように、「インフレでお金が目減りしないように資産運用しないと大変だ」というのは正しいのか。(経済評論家 山崎 元)

資産数千万円から2億円程度の
「半端なお金持ち」の問題

 インフレ対策のための資産運用というと、金融資産が数千万円から1億~2億円といった「半端なお金持ち」くらいが最も関心を持ちそうなテーマだ。彼らくらいの資産額だと、インフレによる資産の目減りで将来の生活が変わるかもしれないと思うのだろう。本稿は主にこの層の読者のために書く。

 他方、資産数億円以上の富裕層は多少のインフレになっても生活には余裕があるだろうし、逆に資産数百万円の方は、効果の上で資産運用によるインフレ対策を考えるのは時間の無駄だ。「あなたには関係ない」と言っておくのが、一見冷たいようで、実は親切なのではないか。

 もっとも、資産が少ない方でも、「インフレが大変だ!」とあおられて過大な借金をした不動産投資などに乗り出す可能性があるので、正しい対策を知っておくべきかもしれない。

 日本にもついにインフレがやって来た。しかも、しばらく居座る気配が感じられる。消費者物価指数(生鮮食品およびエネルギーを除く総合)の対前年同月比は4.3%(5月、全国)と、日本にあっては久しぶりの高水準だ。海外の物価高は意外に根強いようにも見える。

 また日本銀行は物価を抑えるための金融引き締めを当面行いそうにない。日本でも意外に高い物価上昇が続くのではないかと身構える向きがあって不思議ではない。