投資家は「大変だ!」と脅かされると、「何かしなければならない」と反応しがちだ。そして、心配に関連して何かを行うと、心配の要因自体の生起確率が低下したかのように少し安心する。本当は不要なのに民間生命保険会社のがん保険に加入する、賢くない人と同様の反応だ。

 実際は対策したからといって「がん」や「インフレ」になる確率が変わるものではない。しかし、商品のマーケティングを行う側は顧客側のこうした心理を思い切り利用するはずなので、注意したい。

 繰り返すが、結論としてインフレが続いても資産運用は普通通りでいい。筆者の個人的見解としては、全世界株式のインデックスファンドを、個人が負担できるリスクに応じて売り買いしないで「じっと持っている」運用をお勧めする。

 以下、「インフレ対策として」勧められそうな運用商品について、注意するポイントをメモしておく。「冷静になるために」必要に応じて思い出してほしい。

(1)金、商品への投資
 人が予想している以上のインフレは本当に来るのか? 小さな確率に賭けるには、商品投資は非効率的である。

(2)FX(外国為替証拠金取引)
 投機のゲームなので、投資として考えるべきではない。

(3)外貨預金・外債・外貨建て保険
 今後も円安が続くと決めつけて大丈夫か? それ以前に、同じだけ円安になるなら、もっと効率のいい投資対象があるのだから100%ダメ。

(4)株式ファンド
「インフレに強い銘柄」のテーマ・ファンドが企画されてもおかしくない。商品そのもので相場を張るより筋がいいが、手数料が高いだろうし、せっかくの投資信託なのに分散に偏りがあるのはいただけない。

(5)不動産
 不動産自体はインフレであってもなくてもいいのだが、「インフレ対策は不動産しかない」「インフレだから借り入れの返済が将来楽になる」などとあおられて、過大な投資と借り入れを行わないようにご注意申し上げる。

(6)現物ファンド
 ワイン、ウイスキー、アートなどの現物に投資するという触れ込みのファンドにも要注意。インフレ以前に、ファンドの仕組みが怪しくないかの段階から問題な場合が少なくない。

(7)仕組み債
 ついでに載せておいたが、100%ダメだ。売りに来た金融機関とは即刻絶縁すべきだ。また、仕組み債を個人向けに売らせている金融庁も悪い!