軍用車のような車には
憧れのエンブレムが

 私は社長に提案を始めた。

「環境マネジメント導入に向けたコンサルティングをやらせていただけませんか?」

「コンサルティング?なんの?」

「今、地球規模で環境破壊が進んでおり、これをなんとか食い止めようという機運が高まっております。ISO14000シリーズはご存じでしょうか?企業・法人・団体が業務を遂行する際、環境面の管理・マネジメントを行う必要があります。ISO14000は環境マネジメントにおける国際規格でして、これを取得しておけば外部から相当な信頼を得ることができます。御社のような業種では、取得していることがこれからのスタンダードで…」

「目黒君さ…」

 静かに話を遮られた。

「わしの会社、必要だと思うか?」

「は、はい。これからの将来、御社に必ず必要になってくると弊行は考えています。この認証を取得すれば、御社への信頼に…」

「ふうん、信頼ねえ。うちの処理場見せようか。来な」

 私が返事をする前に、社長室を出ていく。社屋に併設したガレージには、軍用車のようなオフロード車のような、とにかくあまり公道では見かけない車両があった。助手席に乗ろうと左ドアに近づき手を伸ばすと

「そっちじゃない、あっち!」

 左ハンドル、すなわち外国車だった。社長が運転席に座る。車のハンドルに描かれたマークを見て驚いた。

「社長、この車、ランボルギーニなんですか?」

「おう、よくわかったな?車、好きか?」

「あ、いや、子どもの頃、スーパーカーブームで。好きだったカウンタックのマークを思い出しまして」

「この車、昔はチーターって名前だったけど、今は何かな?量産型はLMなんとかだったかな?エンジンはカウンタックと同じなんだぜ。3トン近くあるけど、余裕で時速200キロ以上出るわ」