【マンガ】2023年は株式分割が増加中! 株式分割で株価は上がる? 下がる?『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介!

一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』の人気No.1連載「マンガ 恋する株式相場!」の単行本第2弾が好評発売中! 今回はその『マンガ 恋する株式相場! 今から始める! 新時代の投資術』(ダイヤモンド社)から、東京証券取引所の呼びかけや新NISA制度が後押ししている「株式分割」をテーマに、本書の内容の一部をマンガとともに紹介する。

株式分割とは? 分割すると株価は上がる?

 まずは株式分割とは何か? 簡単にいうと「会社の株を複数に分けること」だ。

【マンガ】2023年は株式分割が増加中! 株式分割で株価は上がる? 下がる?『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介!

 例えば2分割の場合、今までの1株が2株扱いになって、発行済株式数は2倍に、1株の値段は半額になる。このように株数などが変わるため、見かけ上の株価は変化するものの、株式の実質的な価値には何の変化もなく、株価へのインパクトは本来ないものだ。

 しかし、実際には株式分割すると株価が上がるケースは多い。

【マンガ】2023年は株式分割が増加中! 株式分割で株価は上がる? 下がる?『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介!
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 これは、株式分割が行われると、最低購入額が下がって個人投資家が買いやすくなるため株価が上がるだろうと考える人が大勢いて、株価上昇を見越した機関投資家などのプロが買うことが多いからだ。

 一方、買いやすくなるということは、反対に売りやすくなることでもある。手元の株数が株式分割で100株から200株に増えた場合、半分の100株を売っておこうと考える投資家も少なくないはず。このように、必ずしも「株式分割=株価上昇」というわけではないことには注意が必要だ。

株式分割のメリットは?

 そんな株式分割をすることに、どういうメリットがあるのだろうか。

 日本取引所グループの公式サイトでは、下記3つの効果が紹介されている。

①対象会社株式を購入しやすくなる
②少額で分散投資ができるようになる
③NISAに組み入れやすくなる

 ①から順に見ていこう。まず株式分割が行われると、最低購入額が小さくなるため、株を購入しやすくなる。冒頭に掲載したマンガの例だと、2021年9月末に株を5分割したトヨタは、株価が9795円から1959円に下がった。これにより、分割前は最低でも97万9500円出さないと買えなかったトヨタ株が、5分の1の19万5900円で買えるようになったのだ。

 ②も、最低購入額が小さくなることによる効果。引き続きトヨタの例だと、分割前は97万5000円をトヨタ株に投資してしまうと、その資金で他の株やETFといった商品に投資することはできなかった。しかし分割後は19万5900円からトヨタ株が買えるので、残りの資金で自由にポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)を組むことができるようになった。

 最後に③。現行の一般NISAだと、年間投資限度額が120万円だが、トヨタの分割前は最低購入額が97万5000円だったので、これを買ってしまうと残りの枠が約20万円ほどと少なくなってしまう。分割で最低購入額が19万5000円になったことで、NISAの限度額を圧迫するボリュームが小さくなり、NISAでより買いやすくなった。2024年からの新NISAでは年間投資限度額が360万円に拡大されるが、引き続き同様の効果はあるといえるだろう。

株式分割が増加中! 背景は?

 そんな株式分割が、2023年は増加傾向にある。2023年7月末時点の株式分割実施件数は75件で、2022年同月末の36件を大幅に上回っている。

 この背景の一つには、2022年10月に東証が、株価が5000円を超えている会社に対して、最低購入額が50万円を下回るようにするよう要請したことがある。

【マンガ】2023年は株式分割が増加中! 株式分割で株価は上がる? 下がる?『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介!
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 政府は2024年スタートの新NISAで非課税枠を拡大し、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させようとしている。これを現実のものとするために、株を買いやすくすることはとても重要だ。東証の要請は、こうした岸田政権の意向を踏まえたものと見ることもできる。

 下の表は2022年12月2日時点の「値がさ株」ランキング上位20社。東証の要請の影響もあってか、その後、現在までにファーストリテイリング、東京エレクトロン、エスケー化研、ディスコ、イーディーピー、ファナック、オリエンタルランド、信越化学工業の計8社が株式分割を実施済みだ。

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株式分割にデメリットはある?

 株式分割で最低購入額が下がることで個人投資家が買いやすくなり、実際株価が上がることも多いとなると、もっと株式分割が増えてもおかしくないのではないか。そんな疑問が湧いてくるだろうが、企業側にとってはデメリットもあるようだ。

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 一つは、株主の数が増えると、株主に送る配当通知書や株主総会の招集通知などの郵送代や作業代が増えてしまう。冒頭のトヨタ株の例でいうと、十万人単位で増えることもあるので、バカにならないコスト増だろう。

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 デメリットのもう一つは、個人投資家の株主が増えると、会社のIR部門などへの問い合わせ数が増え、社員がその対応に追われてしまうことだ。人を増やす必要も出てくるかもしれない。

 株式分割を繰り返せば最低購入額が下がり、個人投資家が買いやすくなることは間違いないが、上記のようなデメリットを考慮すると、単純に株式分割すればいいというわけではなさそうだ。

※本稿は『マンガ 恋する株式相場! 今から始める! 新時代の投資術』(ダイヤモンド社)より一部抜粋、再編集したものです。

<著者紹介>
ホイチョイ・プロダクションズ
バブル時代の超名作『私をスキーに連れてって』など映画やTV、マンガで活躍。株関連の著書は『マンガでわかる株式投資! 女子高生株塾』『株、FX、世界経済がマンガでわかる!新女子高生株塾』『マンガ 恋する株式相場! ゼロからわかる! 投資入門』(すべてダイヤモンド社)。他のベストセラーに『見栄講座 ―ミーハーのための戦略と展開―』『東京いい店やれる店』『気まぐれコンセプト クロニクル』(すべて小学館)など。