NEVER SAY NEVERの精神で
志を遂げてほしい

――「君の志は何ですか」というのは、問いではあっても、決して押し付けてはなくて、相手がどう考えているのかを、相手自身に気づかせるということですね。

 ええ。そして、その志を遂げようとする際には、“Never say never”(不屈の精神)という精神が必要だと思います。世代を超えて人気があるジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の名曲は『Never Say Never』、乃木坂46が最近リリースした新曲も『Never say never』、経営者でもロート製薬の山田邦雄会長は自社のスローガンとして、「NEVER SAY NEVER」を掲げています。“Never say never”は万国共通の一つのキーワードになり得る。

 かたや、240年以上前に創業した武田薬品工業の企業理念に含まれる言葉が「不屈」なのですが、社員が半分以上グローバルな会社になったときに、これを英語でどう表現するかという議論になりました。結局「Perseverance」と訳していますが、同じ大阪生まれの製薬会社のロート製薬と武田薬品工業のスローガンの時空を超えた共振性を感じて面白いと思いました。

 志を持ったら、諦めない気持ちを持ってほしい、常に可能性は開けていると思ってチャレンジし続けることが、「君の志は何ですか」という問いの中に含まれている。洋の東西、時代を超えて、伝えるべき精神、人間としての本質的な問いかけです。

――今日の日本の若者や、日本企業、日本全体にこの精神が足りていないのでしょうか。

 若い人には、思いさえあれば、何でも可能だといつも言って、背中を押すようにしています。シニカルに諦めたり、変に大人びたりせず、可能性が開けているのだから、それをぜひ大事にしてほしい。

 企業においても老舗企業とベンチャーにはそれぞれに持ち味と役割があり、お互いに組むといいことがあるといつも言っています。ゼロから始めるのはあまりにも無駄が多すぎるので、相手の長所を使わない手はない。

 日本はそれなりにシニアが多くなり、そこには伝統の宝の山があるということです。冒頭で言ってくださった「巨人」と言うと持ち上げすぎかもしれませんが、シニアは自分たちの肩はいくらでも貸してあげられる。先人の知恵の上に乗ることで、若者はそこでいくらでも飛んだり跳ねたり、伸びやかに大きな仕事ができるのではないかということです。