試験形式や合格点を調べ
過去問を徹底的に仕分ける!

 前ページの図2を見ながら具体的に説明していきましょう。
 
 STEP1としてまず、試験の形式クリア条件を調べます。取得したいと思う資格・検定の試験要項を見て、対策上重要となるポイントを確認します。
 
 試験の形式は、筆記だけなのか、実技や口述(面接)があるのか。筆記は択一式だけなのか、記述式や論述式もあるのか。それが分かるだけでも勉強する範囲は絞られます。近年はコンピューター形式(CBTやIBT)*による試験も増えてきたので、その点も調べておきましょう。
 
 必ず確認しておきたいのが、「合格基準点」です。このラインが低いほど、試験対策で「捨てるところ」を増やすことができます。必要のないことまでやらないためにも、最初に試験のクリア条件はよく調べておくことが大切です。
 
 STEP2では、出題パターンを分析します。
 
 ここで最も重要なのが「過去問題」です。過去問を見ていくとその試験の「傾向」が分かるので、それを基に「対策」を立てます。過去問とまったく同じではないが「同じような類問」が繰り返し出るパターンも、過去問だけやっておけば大丈夫です。

 また、前述の「航空検定」は、公式教材として出ている「出題例・解答解説集」とほぼ同じ問題しか出題されないのですが、こういうタイプの試験も対策としてはこの問題集だけやっておけば良いでしょう。
 
 類問のパターンとしては、「同じような内容で問われ方の異なる問題」があります。一例を挙げると、「作家Aの代表的な作品は何か?→答え:B」という問題が、別の年には「小説Bを書いた人物は誰か?→答え:A」というように主語と目的語が入れ替わっているケースなどが該当します。問われ方が変わっても繰り返し出されているのは「重要な内容」だということです。
 
 一方、繰り返し出る問題があまりないタイプの試験の場合は、また異なる対策が必要です。過去問を完璧に覚えるよりも、自分で問題を予測しながらテキストを読み込むような勉強をします。

「問題を予測する」というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、過去問を分析していくと、「年号を問う問題がよく出る」「『人名』と『その人の事績』を結び付ける問題が多い」など、出題傾向は把握できます。これを踏まえて、人名やよく出てくるキーワードをチェックしていくと、なんとなく問題が予想でき、必然的に「深追いしなくて良い範囲」も見えてきます。
 
 STEP3で「過去問の仕分け」を行います。
 
 先ほど「引っ越し」の作業に例えたように、過去問の勉強をしながら「やるところ」と「やらないところ」を決めていきます。試験は、「全体の20%の範囲から80%出題される」といわれています。この20%がSTEP2で言及した「繰り返し出る問題」です。そこを優先してマークし、残りの80%から「やらないところ」を見極め、捨てる作業を行います。
 
 捨てる箇所の見極めのポイントは、「1.習得に時間がかかりそうな箇所」「2.配点が低い科目・分野」「3.直近10回分の過去問で出題されていない分野」「4.マニアックな分野や細かすぎる事項を問う問題」「5.直近の回の試験で出されたばかりの問題」の5項目です。時間や労力をかけても得点につながる可能性が低いと見込まれる箇所は思い切って捨ててしまいましょう。
 
 STEP4は、いよいよ試験前日です。
 
 STEP3で抽出した「優先度『高』とマークした問題」など「やると決めたところ」を詰め込みます。暗記ものもこの日に集中して覚えます。この日に結構な負荷がかかることになりますが、勉強の濃度が濃くなる分、パフォーマンスも高くなります。「コツコツと長期間勉強を続けるよりは、1日だけきつい思いをする日があるほうが全体で見ると楽だろう」と割り切り、スピード感を持って取り組んでみてください。
 
 資格・検定試験合格のためには、すべてを完璧にやろうとせず「戦略」を立てて「選択と集中」を意識した勉強をすることが最重要です。この点を押さえて対策すれば、短期合格も難しくありません。ぜひ、いろいろな資格・検定試験にチャレンジして就活に役立ててください。

*CBT(Computer Based Testing)、IBT(Internet Based Testing):コンピューターで実施する試験。CBTは試験会場に設置された端末での受験形式を指すことが多く、IBTは自宅など任意の場所で受験する形式をいう

(資格・勉強コンサルタント 鈴木秀明)