儲かる大家はやっている「一芸物件」、築古・立地悪の弱点も後付けで強力個性にできる 愛知県瀬戸市にある家庭菜園付きアパート「キャッスルハイム」 Photo:井上敬仁『一芸物件』より抜粋・転載

不動産投資をしていて、「空室になったらどうしよう」「うちの物件は古いから手を入れても新築にはかなわない」と危機感を感じる一方、間取りや設備などのハード面での工夫はやり尽くした感を持っている人も多いだろう。自身も大家業を営む井上敬仁氏は、「強力な個性(一芸)を物件に取り入れることで、常に満室の状態で物件を運営できている」という。しかも、間取りや設備をいじることはなく、「アイデアを後付け」したとのこと。唯一無二の人気物件を作るための方法を紹介する。(一芸物件専門家/キャリアコンサルタント 井上敬仁)

※この記事は井上敬仁『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件』(アスコム)の一部を抜粋し、大幅に加筆・再編集したものです。

東京23区の賃貸住宅の空室率は約17%
空室率と家賃の下落に不安を抱える大家業

 国内最大級の住宅情報ポータルサイトLIFULL HOME'Sによると、2022 年12月時点で、東京23区の賃貸住宅の空室率は約17%です。

 仮にアパート20室を家賃5万円で運用していて、空室率が15%だとしたら、年間180万円の損失です。意外と大きな金額ではないでしょうか。

 また、家賃の下落も心配です。特に日本においては、新築や、築浅の物件が好まれる傾向にあるため、新築時の家賃を20年、30年と維持し続けることは基本的に難しいと言えるでしょう。大家さんはこの空室率・家賃の下落に大きな不安を抱えています。

 やや古い調査ですが、オーナーズ・スタイルが16年に行った調査で、「ご自身の賃貸経営は、10年後、20年後も順調だと思っていますか?」という質問に対して、6割超が「厳しくなる」と回答。現在の悩みや将来の不安は具体的に何かという質問には、「空室(60.4%)」「家賃の下落(55.5%)」という結果でした。

 そんな厳しい賃貸市場においても、空室知らずの賃貸物件をつくることは可能です。「都心の便利な立地なのに、家賃が手ごろな物件」というわけではありません。

 実際に、下記のような物件を知っています。

・都心から100分の立地なのに空室知らず
・築年数40年以上なのに空室知らず
・間取りや設備にはこれといった特徴はないのに空室知らず
・北関東の郊外で家賃20万円超なのに空室知らず

 どれも、客観的には決して有利な条件とは言えないのに、人気物件が存在しているのです。中には、空くのを待って何人も順番待ちをしている物件もあります。

 他の物件にはない付加価値をもつ魅力的な物件を、私は「一芸物件」と呼んでいます。私自身、サラリーマン大家から始め、いわゆる普通の大家と同じやり方も行ってきました。そんな中で、「一芸物件」という考え方を見つけ実践し、自分以外にもこれを実践する数多くの大家さんに出会い、話を聞いてきました。

「付加価値なんて、そんな簡単に見つかるものではない」と言う人は少なくありません。しかし、一芸のヒントはあなたの身近にも必ずあるはずです。