『週刊ダイヤモンド』8月12・19日合併号の第1特集は「ChatGPTで激変!AI時代に勝つ 資格・副業・学び直し」です。ビジネスパーソンにせよ、学生にせよ、夏休みは、それまでの人生を変えられる貴重な自由時間です。自らの価値を高める手っ取り早い手段といえば、資格と副業、そして学び直し。ところが、そのいずれもChatGPTに代表される生成AIの登場によって、市場環境が一変しようとしています。また、6月に閣議決定された「骨太方針2023」では「リスキリングの強化」や「成長産業への人材移動」がうたわれました。新時代に対応できるスキルは何か?コスパ・タイパを重視した“自分磨き”の第一歩が踏み出せる裏ワザやノウハウをお届けします。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

空前の資格取得ブームが継続中
昨年は主要25資格で240万人が受験

「労働者が自らの意思でリスキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していく」――。6月に閣議決定された「骨太の方針2023」は、労働市場の流動化と共に、「人への投資」をそう打ち出した。

空前の資格取得ブームが継続中、昨年は主要25資格で240万人が受験夏休みは人生を変えるきっかけになる貴重な自由時間でもある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 だが、国の音頭を待つまでもなく、目下、労働市場の流動化や物価高騰、老後の生活資金への不安などから、資格(検定を含む)や副業、学び直し(リカレント教育)にチャレンジする人が増えている。

 資格に関して言うと、「日商簿記」や「宅地建物取引士」など、資格学校TACがまとめた主要25資格(公務員・教員を除く)の受験申込者数は2022年、計240万人だった。これは過去10年において、コロナ禍による試験中止の反動によって受験申込者数が激増した前年に次ぐ数字だ。

 自身も「弁護士」などの資格を持つ、資格学校の東京リーガルマインド(LEC)の反町雄彦社長は、「もともと現在の所属組織に依存するのは危ないと考えるビジネスマンが増える中、21年を中心にコロナ禍のテレワークで時間の余裕が生じた結果、『キャリアコンサルタント』など、試験を受けやすい資格の取得を目指す人が増えている」と述べる。

 増えているのは昔からある資格だけではない。ChatGPTに代表される生成AIなど新たな情報処理技術への関心の高まりにより、その資格取得の登竜門で09年に新設された国家資格「ITパスポート」試験の応募者数は、22年度に25万人を突破し、3年間で2倍超に増えた。

 米ゴールドマン・サックスは3月、AIが雇用に与える影響について、弁護士や公認会計士などの高度な専門職をはじめ、「現在の仕事の4分の1を代替でき、世界で3億人のフルタイムの仕事を自動化し得る」という推計結果を発表した。