学生ローン免除プランと人種差別を考慮した学生入学プログラムを破棄した連邦最高裁判所の最新の判決に反対する集会学生ローン免除プランと人種差別を考慮した学生入学プログラムを破棄した連邦最高裁判所の最新の判決に反対する集会 Photo:Anadolu Agency/gettyimages

大学入学選考での人種考慮に制限
立て続けの保守的判決で会期終幕

 米最高裁は6月29日、大学の入学選考で人種を考慮するアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)について、国民の平等な権利を保障した憲法に違反するとして、考慮の余地を制限する判決を下した。

 米国の大学では、歴史的な理由などから白人よりも不利とされる黒人などの機会を保障するためにこの措置が取られてきたのだが、入学選考での人種の考慮は行き過ぎという判断を下した。

 保守派の主張が反映された判決は、翌6月30日にも続いた。

 バイデン政権の学生ローンの免除措置についても、議会による立法措置の裏付けを得ておらず、行政府の権限を逸脱しているとして、認めないとする判断をした。

 同じ日には、同性婚に関するサービスの提供を信仰上の理由で拒否しているウェブデザイナーに対し、信念に反するサービスの提供を求めることは憲法で定めた「表現の自由」の侵害に当たるとして、ウェブデザイナーを支持する判決を下している。

 米最高裁の2022~23年の会期末である6月末に示されたこれらの三つの判決は、保守派判事が多数を占める最高裁の現実を改めて印象づける結果となった。

 だが、24年の大統領選・議会選挙に向けた政治モードのなかで、保守派優位の最高裁の存在が共和党に追い風になるかといえば、実はそうでもなさそうだ。