世界の半導体市況およびスマホやPCの需要は…

 世界の半導体市況を見ると、一部は悪化が続いている。ChatGPTに代表される高性能AIを支えるチップの需要は急速に盛り上がり、価格も上昇した。しかし、サムスン電子の主力製品であるDRAM、NAND型フラッシュメモリは、価格が下落している。

 その背景には、コロナ禍で一時的に世界のデジタル化が加速したことが挙げられる。加えて、22年3月に米FRBが金融引き締めを開始するまで、世界的に超低金利の環境も長く続いた。サムスン電子はシェア獲得を重視するあまり、必要以上に生産能力を増強した。だから生産調整を実施しても、供給が需要を上回っている。

 米国の調査会社IDCによると、4~6月期、世界のスマホ出荷台数は前年同期比7.8%減の2億6530万台だった。8四半期連続の減少だ。

 企業別に見ると、サムスン、米アップルの出荷台数は減少した。他方、アフリカ諸国でシェアを伸ばす低価格スマホメーカー、中国の伝音控股(トランシオン)が初めて5位にランクインした。大手メーカーと新興メーカーで性能やデザイン面での差は小さくなり、スマホのコモディティー化は加速し、価格競争は激化している。まさに、レッドオーシャンだ。

 同じくIDCによると、4~6月期、世界のパソコン需要は6四半期続けて減少した。テレワークからオフィスワークへの回帰が進み、巣ごもり需要が減少したこと、世界的な物価上昇による消費者、企業の買い控え心理の高まりが関係している。

 デバイス需要が減ると、サムスン電子が高いシェアを誇るメモリ半導体の需要も減少傾向となる。同じことは、ディスプレー事業にも当てはまる。また、需要の減少だけでなく、中国企業の追い上げが加速していることも痛手だ。