今でこそ徐々に賃上げの機運が高まりつつある日本だが、長年「給料が上がらない国」だった。額面年収がなかなか上がらない中、手取りだけはどんどん減っていく事態が起きていたのだから、かねて「実感なき景気回復」が取り沙汰されてきたのも納得だろう。

 では、なぜ私たちの手取りはこんなに減り続けているのか。その理由は、手取りを求める計算式を見ればすぐに分かる。

 額面収入から「税金(所得税・住民税)」と「社会保険料(厚生年金・健康保険の保険料など)」を差し引いて残ったものが手取りとなる。つまり、税金と社会保険料が年々上がっているから、手取りが減っているということなのだ。

 図の吹き出しにあるように、主な手取り激減の要因として、次のような変更が挙げられる。

●03年:ボーナスから引かれる社会保険料がアップ

●04年:所得税の配偶者特別控除の一部廃止により、専業主婦(夫)やパートタイマーの配偶者がいる人の所得税がアップ

●06・07年:1999年から続いていた所得税・住民税の定率減税が2年かけて縮小・廃止。それまで所得税は20%(最大25万円)、住民税は15%(同4万円)安くなっていたが、その減税がなくなってしまった

●11・12年:子どもの扶養控除が縮小・廃止。16~18歳の特定扶養控除が縮小し、15歳以下の年少扶養控除が廃止となってしまった。子育て世代に対する実質的な大増税となった