高額な契約トラブルに
巻き込まれない就活方法

 それでは、高額な契約トラブルに巻き込まれず、就職活動を行うには、どうすればよいのだろうか?

「履歴書やエントリーシートの添削、模擬面接などの就活支援は、わざわざ就活塾に通わなくても、大学のキャリア支援センターが実施しています。当然ですが、大学が運営する機関なので50万円のセミナーに勧誘される心配はありません」

 そのほか、一般企業が実施する「就職支援型インターンシップ」の参加もおすすめ、と石渡氏。就職支援型インターンとは、本来、学生を採用する側の企業が、就活生向けに模擬面接や模擬グループディスカッションなどを行い、就活対策にもなるインターンを指す。

「就職支援型インターンは、2010年に機械系商社の日伝が『スタートセミナー』という名前で提供したのがはじまりです。実際に新卒採用をしている人事担当者の視点で“就活のノウハウ”が学べるので、非常に実践的な内容になっています。この取り組みで、日伝は知名度を上げ、就職希望者も増加しました」

 同社のインターンは学生のみならず、新卒採用市場でも注目を集め、近年では多くの企業が就職支援型インターンを実施しているという。企業側はインターンを通して、より多くの学生にアプローチするのが目的なので、参加者を無理に引き止めたり、契約を迫ったりすることもない。企業と就活生、双方にメリットがある取り組みだという。

「能動的に就職活動をしている学生は、さまざまな情報を自ら取りにいき、取捨選択をしています。しかし、ほとんどの学生は受け身の就活をしているので、契約トラブルに巻き込まれやすい。もし、大学生のお子さんがいるならば、キャリア支援センターや就職支援型インターンの活用を保護者から勧めてみると、高額な契約トラブルから我が子を守ることにつながるのではないでしょうか」

 親子の会話を通して契約トラブルの火種を消しておくのも、保護者の重要な役割なのかもしれない。

石渡嶺司氏
大学ジャーナリスト。1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て2003年から現職。以降、大学、就活、教育、転職・キャリア関連の執筆活動を続ける。「Yahoo!ニュース個人 オーサーコメントアワード」受賞。『ゼロから始める就活まるごとガイド』(講談社)など、著書多数。