景気後退への警戒感薄れるが
長期金利上昇はインフレ継続のサイン?
米国市場では景気後退への警戒感が薄れ、「インフレ率低下とプラス成長の継続」というソフトランディング期待が高まってきた。
ブームバーグが実施した直近のエコノミスト調査によれば、7~9月期成長見通しは前月時点での0.5%から1.8%へと大幅に引き上げられ、10~12月期もマイナス0.4%からプラス0.4%へと上振れてマイナス成長を回避し、来年1~3月期はマイナス0.1%からプラス0.2%へと上方修正された。
FRB(米連邦準備制度理事会)の年内、あと1回の利上げが予想されてはいるが、追加利上げを含めた高金利政策長期化のシナリオでも、景気後退入りしないどころか、プラス成長を維持して2024年4~6月以降、回復期に入るという明るい見立てになっている。
FRBスタッフも「もはや景気後退シナリオは考慮していない」と述べるなど、米国の景況感は数カ月前と様変わりの様相だ。
米国の長期金利が昨年秋のピークを更新、4.3%台まで上昇してきたのは、そうした景況感の変化の反映でもあるのだろう。
だがそれだけではないように思われる。筆者にはむしろ、コア・インフレ率が容易に低下しないという予想や需給関係の悪化が長期金利を押し上げている印象の方が強い。
むしろ警戒すべきは「インフレ継続と成長減速」の方だろう。
中国が不動産不況の深刻化で景気停滞色を強め、欧州は既にミニ・スタグフレーション化していることを考えると、来年以降の世界経済の行方には悲観色の方が強い。