「ワークマンプロ」は黒をベースにすることで「重厚さ=プロ」を表現しています。一方、「ワークマン女子」は複数の色を取り込むことで、重厚さではなく、もっと気軽さを表現しています。

 マクドナルドもワークマンも、色それぞれが本来持っている心理的な効果をうまく使うことで、自社の認知度や業績アップにつなげているのです。

店内の色を変えることで
赤字体質から脱却

 ここで、私がローソン退社後に経営にかかわっていた、オートバイ用品チェーン店「ナップス」での実例を挙げながら、色が持つ心理的な効果を利用した例を説明してみます。

 ナップスに入社後 私は最初の仕事として、すべての店舗を視察することにしました。全店舗の視察を終えて、「入りやすい店舗」を目標の1つに掲げ、店舗改善に取り組むことになったのですが、視察の際、店舗の色について感じたことをメモしていきました。

 まず、店舗外観、入口、トイレ、商品の売場など、検討したい対象を方眼ノートに書き出します。そして、色が持つ心理的な効果と自分の印象をそれぞれに当てはめて書いてみます。

店舗外観:「黒」……高級なイメージで、威圧感がある。

入口:「黒」……店内が見えづらく、入りづらい。

トイレ:「くすんだ白」。元は白だったが、薄汚れていてくすんでいる。お客様に悪い印象である。

高価品売場A:「白」。高価な商品なのに、安っぽく見える。

通常売場B:「白、緑」。清潔で落ち着いた印象。

 現状を書き出したら、色が持つ心理的な効果を踏まえて、これからどうするかを考えます。

 詳しくは後述しますが、白は「清潔」、黒は「高級・恐怖」、赤は「ポジティブ・警告」、橙は「温もり」、黄は「元気・注意」、緑は「リラックス」、青は「知的」という特性があります。

 この店舗の場合、高級な商品のみを販売する店舗ではないにもかかわらず、外観をはじめ多くのところに黒を使っていました。そのため、入りにくい印象がありました。

 一方、高価な商品を陳列する売場では、照明をはじめ、壁や棚など全体が白系の色に統一された売場でした。そのため、寂しい印象を与え、高価な商品の良さが伝わりにくくなっていたのです。