「スピード」の壁を越えろ
これは一言で言えば「速読力」を身につけることです。
前述の通り、最終的に英文を頭で処理して理解するのは、リーディングでもリスニングでも同じこと。結局は速く読んで理解する力があればよいわけです。
その際に、一つの目安として「英語ネイティブは一般に1分間に160語程度を発話する」ということを知っておくとよいでしょう。
このペースで英文を読んで理解できれば、リスニングの理解スピードという点では問題ないということになります。
では、どうすれば理解スピードを速められるのか。お薦めは以下の3つです。
(1) 多読
これは単純なようで、非常に効果の高い学習法です。
英文を読むとは、言い換えれば目から入った英文を頭で解釈するという活動です。多読は、これを繰り返し行うということ。
これによって、頭が英文を理解することにどんどん慣れていくために、結果的に理解スピードも上がっていくというわけです(逆に言えば、日頃から英文を読んでいなければ、英語をサッと頭で理解することができません)。
毎日少しずつでもよいので、英語を読む習慣をつけましょう。
(2) 音読
英語を声に出して読むことで、英語の語順通りに意味を解釈する力がついていきます。
英語の語順は日本語と大きく異なるため、どうしても日本語に訳しながら読んでしまうという人もいるかもしれませんが、これをやっていては理解スピードが遅くなるばかり。ネイティブのナチュラルスピードについていくことはできません。
音読の良い点として、声に出して英文を読んでいるうちは日本語に訳す暇がありません。
つまり、左から右という英語の語順通りに意味を解釈するという力が養成されてくるのです。その結果、理解スピードも上がっていきます。
(3) リスニング
これも音読と原理は同じ。
リスニングでは、聞こえてくる順番、すなわち英語の語順通りに意味を解釈する必要があるため、結果的に英語の語順に慣れ、日本語に訳すことなく英文を解釈できる力が育っていきます。
音声付きの教材を効果的に使おう
この3つをこなすことで、日本語に訳すことなく、素早く英文の意味を解釈できる力が育っていきます。
「3つもやるのは大変そうだ」と思った方がいるかもしれませんが、音声付きの教材が1つあれば事足ります。
教材の英文を読めば「多読」だし、その音声を繰り返し聞けば「リスニング」の練習ができるし、英文を声に出して読めば「音読」の訓練ができます。
このように1つの教材を多角的に活用すれば、上記の3つをこなすのは、それほど難しいことではありませんよ。
このように「音」と「スピード」の両面からアプローチするのが、英語の聞き取り能力向上のためには必須です。
さらに上級者の方は……
最後に「教材の音声なら理解できるが、ネイティブとのカジュアルな会話が聞き取れない」という人がいるかもしれません。
どの言語でも、くだけた会話では、一つ一つの音をはっきり発話しなくなるという傾向があります。
これを理解するには「カジュアルさへの慣れ」が必要。英語のポッドキャストなど、話者がカジュアルに会話している素材を探し、そうしたものを聞いてみるとよいでしょう。
ただ、こうしたお悩みをお持ちの方は、かなりの上級者でしょうね。
まずは教材の音声がきちんと聞き取れることが第一歩です。それができれば、カジュアルな会話に慣れるのはそれほど難しいことではないですよ。