譲渡経費

 不動産を売却する際にはさまざまな経費がかかります。税金はあくまで儲かった金額に課税されますので、経費は当然、儲けから引くことができます。引くことのできる経費は以下のようなものがあります。

◦売却するために支払った仲介手数料
◦売主が負担した印紙税
◦土地を売るために、建物を取り壊したときの取り壊し費用

 このように仲介手数料などの経費は譲渡所得から引くことができます。なお、これまで支払ってきた修繕費や固定資産税、管理費などは引けないので注意してください。詳しく知りたい方は国税庁のホームページでご確認ください。

建物については減価償却を考慮

 土地を売却したときの税金は、次の算式で計算することができます。

売却金額-購入金額-経費=所得(儲け)

 この所得に20.315%の税金がかかります。一方で、建物については、この算式に減価償却を加味しなければいけません。

 本来、建物は時の経過とともに価値は下がっていきます。もしも、価値が下がったにもかかわらず、買ったときの金額で売れたなら、その差額は儲けだと考えるわけです。この時間経過による価値の減少を、減価償却といいます。

 例えば、①5000万円で購入した建物が、②売却までに2000万円減価償却されたとして、建物の価値は残り3000万円です(これを帳簿価額といいます)。③その建物が4000万円で売却できたとします。④3000万円の帳簿価額の建物が4000万円で売却できたので、差額の1000万円は儲けが出たと考えるのです。ここに20.315%の税金がかかるのです。

所得税と住民税を支払うタイミングに注意

 所得税と住民税の違いは、支払うタイミングが異なることです。不動産を売却した年の翌年3月15日までの確定申告で所得税は支払いますが、住民税の支払いはそこから3か月後の6月からです。この微妙な期間のズレに要注意です。

 確定申告のタイミングで支払った税金がすべてだと思っていると、6月の住民税でびっくり仰天することになりますので、しっかり住民税まで把握しておきましょう。

 なお、相続した不動産を売却する場合で、相続税申告が必要になる方の場合には、相続税の申告と、所得税の確定申告が両方必要になります。

(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」』を抜粋・一部加筆したものです)