酒を飲むと相手が魅力的に見える
「ビール・ゴーグル効果」認められず
酒の席で会った誰かと一夜限りの関係を持ってしまったことを、酒を飲むと相手が実際よりも魅力的に見える「ビール・ゴーグル効果」のせいにする人は多い。しかし実際には、アルコールにそのような効果はないようだ。
飲酒によりもたらされるのは、すでに魅力を感じていた人にアプローチする勇気、いわゆる「liquid courage(酒の力を借りて出る勇気)」であることが、米スタンフォード予防研究センターのMolly Bowdring氏と米ピッツバーグ大学心理学分野のMichael Sayette氏の研究で示された。この研究結果は、「Journal of Studies on Alcohol and Drugs」に8月29日掲載された。
一般的には、酒を飲むと周囲の人がより魅力的に見えると考えられている。しかし、そのような現象を体系的に検討した研究は実施されていない。Sayette氏は、「広く知られているアルコールの『ビール・ゴーグル効果』に関する文献はあるが、その内容はそれほど一貫していない」と説明する。
先行研究の多くで実施されたのは、研究参加者に、飲酒した状態と飲酒していない状態で誰かの写真を見せ、その人の魅力度を評価してもらうという実験だった。一方、今回Bowdring氏らが実施した研究では、この手法に、魅力を感じた相手に実際に会える可能性を示すという、より現実的な要素を付け加えた。