祖母や母親が乳がんなら
遺伝子検査をするのも一案

「男の乳がん」をご存じですか?1000人に1人だからこそ怖い思い込み米盛勧 国立がん研究センター中央病院腫瘍内科科長

それでは、どんな人が男性の乳がんにかかりやすいのでしょうか。医学的に見れば、高齢、肥満、精巣異常などさまざまなリスク因子はあるものの、特定の遺伝子異常のある場合は「リスクがある」と考えるそうです。

「親が遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の場合、BRCA1、もしくはBRCA2の病的な遺伝子異常を持っていることになり、男性にも遺伝します。特にBRCA2の病的な遺伝子があると、男性乳がんの累積罹患リスクは7〜8%ともいわれています。家族に卵巣がんや乳がんになった人が複数いる、BRCAの病的な遺伝子異常を有している方がいるなどの場合、遺伝子診療の専門家に遺伝子検査をするかどうか相談してみても良いでしょう」

 有名な例では、アメリカの俳優アンジェリーナ・ジョリーさんが母親を56歳のときに乳がんで亡くしており、自身の遺伝子検査をしたところ、BRCA遺伝子を持っていることが判明したので、予防措置として乳房を切除したというエピソードがあります。

 日本でもBRCA遺伝子を持っているかどうかの検査はできますが、がんを発症する前の自費診療の場合、国立がん研究センターでは検査料金が約10万円になるとのこと。「念のため調べておこう」とはなかなか思えない金額ですが、リスクが高いと思われる人は、遺伝子診療の専門家に相談の上、検査するとリスクの有無の判断ができるかもしれません。