賃上げの嘘!本当の給料と出世#8Photo by Reiji Murai

今季春闘では主要5社で過去最高7.3%の賃上げで妥結したNTTグループ。2024年入社の新入社員の初任給引き上げも発表され、学部卒では30万円以上となる予定だ。しかし“大盤振る舞い”の裏で、この4月にある特定の管理職ポストの配置と待遇のてこ入れを行うという通達が出され、主に中高年世代が給料減のリスクに恐れをなしているという。どの世代、どの役職の給料が減る、あるいは増えるのか。出世の力学は変わるのか。特集『賃上げの嘘!本当の給料と出世』の#8では、今回極秘入手した社内資料を基に、NTTの人事制度改革を取り巻く世代間の葛藤に迫る。(ダイヤモンド編集部)

春闘の大盤振る舞いの裏で
中堅管理職のポストと待遇にメス

 今季春闘では主要5社で過去最高の7.3%の賃上げで妥結したNTT(日本電信電話)グループ。2024年入社の新入社員の初任給引き上げも発表され、学部卒では30万円以上となった。

 同時に今年4月、NTTグループの管理職を対象に「ジョブグレード設定の見直しについて」と題された、ある大きな通達がなされた。特定の管理職ポストにおいて、職務に基づく処遇が適用されていない実情を是正する、というものだ。

 この通達を見たある管理職社員は「年代によって、この通達に対する感情は異なるのでは」と話す。若い世代は経営層への道が近くなったとポジティブに捉えるが、一方中高年世代では「背筋が寒くなる者も少なくないだろう」(同)という。

 NTTは、それまでの年功序列から実力主義の組織を目指して21年から人事制度改革に着手しているが、今回の管理職ポストと待遇へのテコ入れ策は、その総ざらいという位置づけで行われるようだ。

 最悪年収レベルで100万円以上給料が減る者も現れそうだが、なぜ中高年管理職が狙い撃ちにされそうなのか。どの世代、どの役職の給料が減る、あるいは増えるのか。出世の力学は変わるのか。極秘入手した社内資料を基に、NTTの人事制度改革を取り巻く世代間の葛藤に迫る。