7・情緒的理由付け
 感情によって事実を歪めて判断する思考パターンです。たとえば新しい職場で新しい仕事をするとき、前頭葉は新しい環境に臨機応変に適応しようとしますが、前頭葉バカは新しい仕事を「初めてでよくわからないから不安なのはあたりまえ」とは考えず、「これほど不安なのは、自分にはできないくらい難しい仕事だからだ」と事実を歪めて正当化します。こういう人は特にうつ状態で悲観的になり、場合によっては絶望してしまいます。

8・「~すべき」という考え方
 前頭葉バカは「かくあるべし」と考える傾向があります。たとえば、「人に迷惑をかけてはいけない」と思うあまり、人にヘルプを求められず、最終的に迷惑をかけるような人です。

 このパターンに陥りがちの人は、「~であるべき」という理想像に自身が追いついておらず、せっかくの高い能力を活かせないことが往々にしてあります。

9・レッテル貼り
 一度ふられたただけで「俺はモテないダメな男」、あるいは一度でも成功すれば「俺は天才」と決めつけてレッテルを貼ることです。

10・自己関連付け
 成功すると「俺のおかげ」と考え、失敗すれば「俺のせい」と人一倍激しく落ち込む思考パターンです。子どもが学校で問題を起こしたときに「育て方が悪かったせいだ」と自らを責めるタイプの人に多いです。物事はさまざまなことが絡み合って成立しています。すべてが自分のおかげでも自分のせいでもない、と気づけば楽になれます。

前頭葉バカを避けるカギは
知的謙虚さとチャレンジ精神

 自分がバカかリコウかに気づくことができるのは、「メタ認知」と呼ばれる作業を行なえるかどうかです。メタとは「高次の」という意味の英語の接頭辞で、高いところから自分の認知を客観的に確認する、と理解すればよいと思います。認知心理学では、メタ認知は「能力」ではなく「態度」であるとしています。

「自分の考え方は、もしかしたら間違っているかもしれない」「人間というのは感情に振り回されやすい生き物だから、自分の今の発言は感情に歪められたものかもしれない」「周囲の意見や同調圧力によって、自分の考え方が歪められているかもしれない」のように、自分で自分を客観視することを「自己モニター」と呼びますが、前頭葉バカにならないためには非常に重要です。