トラウマを抱えた脳と癒やされた脳の、それぞれの思考の傾向を比較しました。
このリストを見れば、重大なトラウマを抱えた脳が健全な脳と比べて、どれほど違うかわかると思います。
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【 トラウマを抱えた脳 】
■常に警戒し、恐れている
■悲観的思考
■凝り固まった考え方
■極端な思考
■物足りないと感じる
■他人からの非難を恐れる
■無罪と証明されるまでは有罪
■先に攻撃し、疑問はあとで解消する
【 健全な(治癒した)脳 】
■リラックスし、人を信用する
■楽観的思考
■柔軟な考え方
■思慮深い思考
■充足感がある
■自信がある
■有罪と証明されるまでは無罪
■思い込みを避け、先に疑問を解消する
ですが、トラウマを抱えて育ったとしても、この先もずっとこのような思考で生き続けなければならないわけではないので安心してください。脳を癒やす方法はあります。
トラウマによって脳が変質してしまうという事実は憂鬱ですが、癒やすことでいい方向に変質させることも可能なのです。
精神的なトラウマを癒やすには、まずトラウマの原因になったと思われる幼少期の経験を思い出し、それがどんなストレス反応を引き起こすか試してみてください。
何らかの反応を誘発する記憶は「感情トリガー」と呼ばれます。恐怖や恥、自己疑念などの感情が誘発されるような記憶はすべて感情トリガーだと考えてください。
記憶以外にも、経験、出来事、衝突、不安など様々なものが感情トリガーになり得、いずれも今の気分を塗りつぶすほどの強い感情で心を揺さぶります。あなた自身の感情トリガーを見つけてください。
(1)Regina Sullivan and Elizabeth Norton Lasley, “Fear in Love: Attachment, Abuse, and the Developing Brain,” Cerebrum (2010, September), https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3574772/?report=classic.
(2)Bessel van der Kolk, The Body Keeps the Score: Brain, Mind, and Body in the Healing of Trauma (New York: Penguin Books, 2014).『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』ベッセル・ヴァン・デア・コーク, 柴田裕之訳, 杉山登志郎解説, 紀伊國屋書店, 2016年
毒家族に苦しむ人々を救う心理学者であり、家族との絶縁を手伝う専門家として全米で知られている。かつてBBM Global NetworkとTuneIn Radioで自身のラジオ番組「Dr. Sherrie Show」を主宰していた。講演者、SNSのインフルエンサーとしても知られ、メディアにも頻繁に取り上げられている。著書に『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)などがある。
※本稿は、シェリー・キャンベル著 髙瀨みどり訳『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。