ほかにも、ソフトバンク株で一度は利益を得たものの、もう一度買ったところで値が下がって塩漬けになる寸前で売り、東芝株でも大損しています。今考えれば、ソフトバンク株などは売らずに持っていれば、とてつもなく利益が上がっていたはずですが、どの銘柄も数カ月から長くて1年ほどで売ることを繰り返していました。

「もう少し真面目に投資しよう」と考えるようになったのは2010年を過ぎてからで、米国株を中心に購入するようになりました。

 米国株に関しては「自分が知っているものしか買わない」と決め、勤務先以外の株を買っていました。アマゾン株はかなり株価が上がって、少し下がったときに売却。テスラ株も結構上昇して、価格が一段落したところで売ってしまいましたが、ソフトバンク株同様に売らなければよかったと思っています。ほかにもツイッターやリンクトイン株も買いましたが、こちらは失敗で、もう少しいろいろと調べてから買うべきでした。

 アマゾン株で成功したのは、自分の中に業界人としての知識があり、株価が伸びない理由がないと分かっていて長期保有したからです。最近はプラットフォーマーに対する各国の規制もあり、風向きが悪くなってきたのでいったん売却しましたが、自分が明確に分かる銘柄の株を取引したことが功を奏しました。

 米国株に比べると、少しずつ購入していた日本株では総じて失敗しています。そこで、ここ3〜4年は、より真面目に投資をしようと考えるようになりました。

投資から学んだ金融リテラシーを
ビジネスに生かす

 私が投資から学んだことは、大きく「金融リテラシー」「ビジネス・経営のあり方」「意思決定のプロセス」に分けられます。

 金融リテラシーについては、よく「社会人なら簿記の基本ぐらい分かっておけ」などと言われます。特に「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の財務三表の意味、どの項目が何を表すか理解することは、会社のお金の流れをつかむために非常に大事なことです。

「複利のパワー」「税引き後利益」「キャッシュフローの重要性」について知っておくことは、さらに大切です。これらは金融取引の世界では基本中の基本といえる知識でしょう。