コロナ禍から一転、就活にかかる費用が増え続けている世間事情学生が就活にかける費用は、アフターコロナにどう変わっているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍の収束は、24年卒採用にどんな影響をもたらしたのだろうか。就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第10回。今回は、大学生の就職活動にかかる費用を分析しながら、就職・採用手法のあり方について考えていく。

就職活動費用に異変
交通費・被服費・宿泊費で増加

 2020年から日本国内でも始まったコロナ禍は、就職活動に「選考のオンライン化」という新しい動きをもたらしました。それに伴い、大学生の就職活動にかかる費用の金額も大きく変化し、学生の価値観の変容にもつながっています。

 就職みらい研究所が実施している『就職プロセス調査』では、経年で就職活動にどれくらいの費用がかかったのかを調査しています。コロナ禍前の20年卒(2019年7月1日時点)において、「就職活動全体にかかった平均金額」は128,890円でしたが、21年卒には88,923円と大きく減少し、22年卒は72,034円、23年卒は75,245円とコロナ禍前の「就職活動の費用」の金額の約4割減のまま推移してきました。

 では、直近の24年卒学生の費用はどうなっているのでしょう。

 6月12日時点で、就職活動に使用した金額の平均は82,905円。前年の23年卒より7,660円増加する結果になりました。別途、就職活動費用の内訳を見てみると、「交通費」「被服費」「宿泊費」の項目で、平均金額と使用率の増加が見られました。

 交通費は23年卒の17,555円から3,757円増加して21,312円、被服費は前年より2,963円増えて36,463円、宿泊費は4,734円増えて18,544円でした。交通費、被服費は就職活動費用全体の使用率の約9割を占めていることから、24卒学生の就職活動内容の変化が影響していると考えられます。

 地域別で交通費を見ると、最も多かったのが九州に住む大学生で32,968円でした。次いで、中国・四国の28,457円、北海道・東北の27,708円、近畿の27,480円、中部の21,116円と続きます。関東は14,719円と、全国平均の21,312円からも大幅に少なくなっています。