コロナ禍前の20年卒はどうだったかというと、九州在住の大学生の交通費は79,383円。中国・四国では70,990円、北海道・東北は68,624円と、交通費負担がかなり大きかったことが読み取れます。   昨今はIターンで地方での就職を選んだり、Uターンで地元に戻ったりするケースも増えていますが、コロナ禍前の就職活動にかかっていた交通費からの大幅な減額から、企業の選考プロセスへのオンライン化の浸透により、学生の居住地域に関わらず、全国どこにある企業の説明会や選考にも、参加しやすくなったといえるでしょう。

「オンラインのみ」の参加形態は、
各プロセスで減少傾向に

 23年卒学生と比べて、24年卒学生の就職活動費が増加した背景には、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いてきたことよる選考プロセスの対面回帰が考えられます。

 企業説明会や面接での参加形態について24卒学生に聞いたところ、「オンラインのみ」と答えた割合は、23年卒よりも減少しています。各プロセスで細かく見ていきましょう。

 説明会への参加が「オンラインのみ」だった大学生は、23年卒では31.9%でしたが、24年卒では23.6%になりました。一次面接での「オンラインのみ」は23年卒では41.4%、24年卒では34.1%。最終面接では14.4%から9.5%へと減少しました。ただ、説明会・一次面接では、「オンラインのみ・どちらかというとオンラインが多かった」との回答合計が23年卒、24年卒ともに8割を超え、オンラインが主流となっている現状が見て取れます。

 一方、最終面接において「オンラインのみ」は、23年卒で14.4%、24年卒では9.5%でした。「対面のみ」の割合が最も多く、23年卒では33.5%を占めていました。24年卒では43.5%と、さらに10ポイント以上増加する結果になりました。「対面のみ・どちらかというと対面が多かった」の合計は23年卒では56%、24年卒では68%と7割に迫っています。

 このように、対面での選考機会が増えたことが交通費や被服費負担につながり、就職活動の平均費用を押し上げていると考えられるでしょう。