その3:図書館で本を読み、
帰りにお茶をする(Social,Attractive)

「本を開いてもすぐに他の行動に移ってしまう」人は、図書館で本を読むと決めるのもおすすめ。そうすることで、読書へ取り組む時間が長くなると考えられる。人は、“周りの人と同じことをする”という同調効果の影響を受けるためだ。

 同調効果の一般的な例としては、商品やサービスの販売促進で用いられる「サクラ」が挙げられる。自分が買う気がなかった商品を購入する人や、通り過ぎようと思っていたカフェに大勢の人が並んでいるのを見て、興味を引かれた経験があるかもしれない。『実践行動経済学』によれば、同調効果を証明するための実験は世界17カ国で130回以上行われており、被験者は20~40%の割合で周囲に同調する傾向があると判明している。

 同調効果は、EASYにおけるSocial要素とも合致する。「周囲の多くの人が本を読んでいる」環境である図書館に行き、Socialの影響を受けることで、自分も結果的に読書に取り組みやすくなるだろう。

 さらに効果を高めるためには、“図書館に行った帰りにカフェやファミレスに立ち寄る”と決める、というのもよいだろう。図書館で本を読むという行動のあとに、自分の好きなドリンクやケーキを味わえるというのは、行動にAttractiveの要素をプラスすることになる。こうすることで、より読書への意欲が高まると考えられる。

その4:周りの人に“読書好き”をアピールし、
常に本を持ち歩く(Social,Easy)

 これまで一人の時間に本を読んでいた人は、周囲に自分が“読書好き”だとアピールすることも、読書を促進する有効な手である。これは、Social要素の活用例である。

 人間は、他人が自分の行動や見た目に実際よりも注目していると感じる傾向があり、この現象は「スポットライト」効果と呼ばれている。自分自身を“よく本を読む人”だと他人に認識してもらうことで、「周りから読書好きだと思われているから、本を読まねば」という思考になり、実際の行動に自らを誘導できるようになるのだ。

「私は読書好きです」と直接誰かに伝えるのにためらいを覚える人でも、読書好きをアピールすることはできる。あえて他人がいる場所で本を開いたり、カバンに忍ばせた本を自分のデスクや休憩場所に置いたりすることで、「他の人から、本が好きだと思われている」という自分自身の意識を高められるようになる。

 親しい人に認識されることにプレッシャーを感じる場合は、ゆるいつながりの活用に目を向け、SNSで本好きだと宣言したり、本の投稿をしたりする方法を試してみるのもよいかもしれない。

 また、本を常に持ち歩くようにすると、さらに本を読む時間は増えやすくなる。本を常に持ち歩くことは本を手に取りやすくし、読書を容易にするEasyの工夫だ。携帯していた本を他人の前で開いて読み始めると、一人の空間よりも読書の手が止まりにくいと実感できるだろう。