変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。
「英語力」だけでは、
仕事の成果は生まれない
「グローバル人材」の重要性が語られ、オンライン、オフライン問わず多くの英会話学校が乱立しています。皆さんの周りにもTOEICで800点を取ったと得意顔で闊歩している同僚がいるのではないでしょうか。
では、グローバルな仕事で成果を出すには、高い英語力は必須なのでしょうか。決してそのようなことはありません。
私は10年以上にわたり、東南アジアの現地企業とさまざまなプロジェクトを実施してきましたが、全員が完璧な英語を話しているわけではありません。それでも、海外の企業と互角に対峙して結果を出している東南アジアの経営者に、たくさん出会ってきました。
できる経営者は、
解像度の高い現場の情報を持っている
では、それらの経営者は何が優れているのでしょうか。それはズバリ、解像度の高い情報から現場の理解を深め、イシューを整理して話しているという点です。
現地企業を訪ねると、多くの場合、経営者が1人で対応してくれることがほとんどです。そうした経営者は、高い解像度で現場の情報を有しています。解像度が高いというのは、部下から間接的に聞いた話ではなく、自分で直接見聞きして得たリアルな情報ということです。
仕事で成果を出し続ける人は皆、間接的な2次情報だけでは成果が出ないことを理解しています。いくら流ちょうな英語で話せても、話の内容の解像度が低くては、相手の信頼を得ることができません。
イシューを整理してあれば、
成果が出せる
もう一つは、イシューを整理して話しているということです。イシューとは「解かなくてはいけない重要な課題」です。肝心なイシューではなく、「相手にとってメリットのない単なる情報」や「解かなくても良い些末な課題」を流ちょうな英語で話したところで、相手にとっては単なる時間の無駄遣いです。
英語で成果を出すためには英語力を磨くことも意味がない訳ではありませんが、それよりも「何を話すのか」を意識するようにしましょう。
『アジャイル仕事術』では、正しいイシューの設定方法から効果的な伝達方法まで、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。