頭がごちゃごちゃして、うまくまとまらない」「何かとすぐ忘れてしまう」……。仕事や勉強をするなかで、そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか?
1000人以上の東大生のノートを分析してきた現役東大生の西岡壱誠氏によると、それらは「ノート」で解決できるといいます。
東大生は、「あとから見返す目的」でノートを取りません。ノートは、授業後に情報を整理し、理解するために取っています。そのような取り方をしているから、東あ大生は頭がよく、逆に言えばノートの取り方次第でだれでも頭がいい人になれるのです
本記事では、『「思考」が整う東大ノート。』の著者である西岡氏に「東大生の思考整理法」について話を聞きました。

東大生が実践する「思考を整える」効果的な方法Photo: Adobe Stock

東大生はどのように思考を整理する?

僕は今回の『「思考」が整う東大ノート。』を執筆するにあたり、東大生や難関大に合格した人のノートを1000人以上確認しました。頭のいい人はどんな風にノートを作っているのかを調べてみたのです。

その中で見えてきたのは、東大生が思考を整理するときに実践しているのは、「分解だということです。

情報を「分解」する

たとえば、「なぜシャッター通り商店街は増えているのか」ということについて勉強するとしましょう。

「商店街の中にシャッターを閉めたままの状態の店舗が増えて、商店街が衰退していく場所が多いのはどうしてなのか?」ということを、本で読んだりレクチャーを受けたりして情報を整理していく場合、どんな風にノートにまとめるでしょうか。

東大生は、まずこの情報を「分解」するのです。

「なぜ、お店を経営する経営者は、そのお店を放っておいているのか?」
「なぜ、商店街や行政は、新しい店舗を誘致できないのか?」
「なぜ、商店街を訪れるお客が減っているのか?」

このように、1つの問いを、2つ以上の問いに分解するのです。

しかも、被りのないように丁寧に分解します。たとえば今回で言えば、「経営者の立場の問い」と「商店街全体・行政の立場の問い」「消費者の立場の問い」と、それぞれの立場で考えるわけです。

同じ問題をさまざまな側面で分解する

これと同じように、「なぜ日本人は礼儀正しいと言われるのか」という問題があったら「『日本』という国の特異性は何か」「『礼儀正しい』というのは、どういうことなのか」と分解していきます。

「なぜロシアは戦争を始めたのか」と言う問いがあった場合には、「経済的な面」「政治的な面」「地政学的な面」「歴史的な面」というように、同じ問題をさまざまな側面で分解して考えていきます。

東大生のノートを見ると、1つの情報が複数に分解されていることに驚かされます。

「頭がごちゃごちゃする」ときも分解が重要

物事を考えるときに「頭がごちゃごちゃして、答えがわからなくなってしまった」という経験、ありますよね?

それは、問いが分解されておらず、考えるべきことが適切に「切り分けられて」いないから発生しているのです。

「経営が立ち行かなくなった店舗が多いからシャッター通り商店街が増えているんだろうけど、それは少子高齢化が影響しているのかもしれなくて……あれ? この場合、店を経営している人が高齢になっているからなのか、お客さんが高齢になっているからなのか?」と、複数の問題が同時に進んでしまって、整理ができない状態になってしまうわけです。

だからこそ重要なのは、情報や問いはとにかく分解することです。思考が整理できなくなってきたら、分解することを意識してみてもらえればと思います。